後遺障害10級とは?慰謝料と認定基準を弁護士が解説

後遺障害10級は、交通事故で眼・口・耳や手足などに後遺症が残った場合に取得できる後遺障害等級です。
後遺障害10級を取得すると慰謝料などがどれくらい支払われるのか、そしてどんな症状なら10級に認定されるのかを解説します。

後遺障害10級の後遺障害慰謝料

後遺障害10級の被害者の方が受け取れる慰謝料には「後遺障害慰謝料」と「入通院慰謝料」があります。まずは後遺障害等級に応じて支払われる「後遺障害慰謝料」について説明します。

後遺障害慰謝料は同じ等級でも採用される「基準」によって金額が変わります。

自賠責保険の基準

加害者が任意保険に加入していない場合は、自賠責保険から10級の後遺障害慰謝料として190万円が支払われます。自賠責保険はすべての車の所有者に加入が義務付けられています。

任意保険の基準

任意保険というのはいわゆる自動車保険です。加害者が自動車保険に加入している場合は、保険会社が後遺障害慰謝料を支払います。保険会社は慰謝料額を公表していませんが、私の経験からすると自賠責保険と同額か少し上回る程度と感じます。

弁護士基準

弁護士が介入した場合の10級の後遺障害慰謝料の相場は約550万円です。「自賠責保険の基準」が190万円ですから、「弁護士基準」になるだけで約250万円も違いが出てきます。

どうして「弁護士基準」は高いのでしょうか? これは、実際に裁判で争った結果に基づいているからです。個人で裁判を行うのはとても大変ですが、弁護士に相談することで相手の保険会社も「弁護士基準」での交渉に応じます。

後遺障害10級で受け取れるその他の保険金

後遺障害慰謝料のほかに受け取れる保険金としては以下のものがあります。いずれも保険会社に任せた場合と、弁護士が入った場合とでは金額が大きく違ってきます。

  自賠責保険 弁護士基準
後遺障害慰謝料、逸失利益などの合計 上限461万円 上限なし
入通院慰謝料、治療費などの合計 上限120万円 上限なし

逸失利益

後遺障害によって事故前と同じ仕事ができなくなり減ってしまう収入を補償するものです。10級の労働能力喪失率は27%とされています。

入通院慰謝料

けがの治療のために入通院したことに対する慰謝料です。入通院した期間に応じて支払われます。

休業補償

けがの治療で仕事を休んで減ってしまった収入を補償するものです。

治療費など

けがの治療のための入院や通院、それに伴う交通費なども加害者側に請求することができます。

後遺障害10級が取得できる後遺障害の症状とは

後遺障害10級が取得できる症状にはどのようなものがあるでしょうか。
体のどの部分に後遺障害が残れば後遺障害10級が認められるかを見ていきましょう。


10級1号 1眼の視力が0.1以下になったもの
10級2号 正面を見た場合に複視の症状を残すもの

ここでいう視力は、メガネやコンタクトなどを付けてから測る、いわゆる「矯正視力」のことです。裸眼で測った場合の視力ではありません。

眼鏡やコンタクトを使用してもなお、視力が0.1以下であることが条件です。

10級3号 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

「咀嚼(そしゃく)機能に障害を残すもの」とは、固い食べ物をうまく噛めなくなってしまった場合です。固い食べ物の例として、たくあん、ラッキョウ、ピーナッツが挙げられます。

「言語機能に障害を残すもの」とは、4種の語音のうち2種の発音不能のもの又は綴音(ていおん)機能に障害があるため、言語のみを用いては意思を疎通することができないものをいいます。

10級4号 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

「歯科補綴(ほてつ)を加えたもの」とは、交通事故により現実に歯を喪失したか、歯冠部の4分の3以上が欠けてしまった場合に、失った部分をインプラントやブリッジなどで補う治療をすることをいいます。

14歯以上に補綴を加えた場合に10級が認められます。

10級準用 嚥下機能に障害を残すもの

「嚥下機能に障害を残すもの」については、固い食べ物をうまく飲み込めなくなってしまった場合です。

10級5号 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの

耳に関しては、純音聴力検査という検査を行なう必要があります。コツは、必ず3回検査すること、学会の手順に従うことが必要です。

この検査で、両耳の平均純音聴力レベルが50デシベル以上のもの、または両耳の平均純音聴力レベルが40デシベル以上であり、かつ最高明瞭度が70%以下のものは10級5号に該当します。

10級6号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

純音聴力検査の結果、片方の耳が80デシベル以上90デシベル未満の音しか聞き取れなくなった場合、10級6号に該当します。

手指

10級7号 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

「手指の用を廃したもの」とは、 ①手の指の末節骨の半分以上を失い、 または、 ②中手指節関節もしくは近位指節間関節(親指の場合は指節間関節)に著しい運動障害を残すもの とされています。

具体的には、下記の場合です。

  1. 手の指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
  2. 中手指節関節または近位指節関節(親指の場合は指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの
  3. 親指については橈側外転又は掌側外転のいずれかが健側の2分の1以下に制限されているものも「著しい運動障害を残すもの」に準じて取り扱う
  4. 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したもの
    当該部分の感覚神経が断列し得るような外傷を受けたという事実に加えて、筋電計を用いた感覚神経伝導速度検査を行い、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されない事実について、確認することによって認定されます。

10級7号は、

  • 片方の手のおや指
  • 片方の手の、おや指以外の指のうちの2つ

のどちらかについて「手指の用を廃したもの」とされた場合に認定されます。

10級8号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの

事故による骨折などで、骨折は治ったけれども足が短くなった場合に認められます。3センチ以上短くなった場合が10級8号です。

足の指

10級9号 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの

こちらは、片方の足の指を失った場合です。下記の2つのうちどちらかの場合に認められます。

  • おや指を失った
  • おや指以外の4本の足の指を失った

腕の関節

10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

どちらか片方の上肢(腕)の関節(肩・ひじ・手首)のうち1つの関節に「著しい障害」が残った場合に10級10号が認められます。

この場合の「著しい障害」とは、健康な側の腕と比べて、後遺障害が残ったほうの腕が曲がらなくなったこと、具体的には可動域が2分の1になったことを指します。

可動域が2分の1になったかどうかは、下記のとおり測定します。

主要運動 屈曲
参考運動 伸展、外旋・内旋
肩の可動域 屈曲と伸展
肩の可動域 外旋と内旋

主要運動が少し基準に満たないけれども参考運動が基準を満たしている場合、10級10号が認定されます。

屈曲は主要運動、伸展は参考運動なので、別々に測定します。

ひじ

主要運動 屈曲・伸展
ひじの屈曲と伸展

手首

主要運動 屈曲・伸展
参考運動 撓屈(とうくつ)・尺屈(しゃっくつ)
手首の可動域

足の関節

10級11号 外貌に相当程度の醜状を残すもの1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

上記の腕と同じく、足についても関節(股関節、ひざ関節、足首関節)のうち1つの関節に「著しい障害」が残った場合、つまり可動域が2分の1以下なった場合に10級11号が認められます。

またひざや股関節に人工関節・人工骨頭を入れた場合も多くが「著しい障害」として10級11号が認められます。

なお、可動域が2分の1以下になったかどうかは、下記のとおり測定します。

股関節

主要運動 屈曲・伸展、外転・内転
参考運動 外旋・内旋
股関節の可動域

ひざ

主要運動 屈曲・伸展
ひざの可動域

足首

主要運動 屈曲・伸展
足首の可動域

後遺障害10級を取るために一番よいやり方は

ここまではどういう後遺障害が10級として認められるか、をご紹介しました。 ただ、きちんと申請をしないと、後遺障害10級に認められません。

後遺障害等級は、「損害保険料率算出機構」というところに「申請」をして等級を認めてもらう必要があります。2通りの申請方法があります。

「事前認定」と「被害者請求」です。

事前認定

相手方(加害者)の保険会社が申請を行う方法

被害者請求

被害者(もしくは被害者側の弁護士)が申請を行う方法

要するに相手方が申請するのが「事前認定」、被害者側が申請するのが「被害者請求」です。

「被害者請求」のメリット

①しっかりした申請ができる

「被害者請求」では、被害者側の弁護士が被害者に有利になるようにレントゲン画像などをきちんと集めて提出します。また被害者に有利なように意見書などを作成することもあります。

一方、「事前認定」を行う保険会社は被害者にとっては相手方です。相手方が被害者に有利なように申請をしてくれるはずがありません。必要と思われる書類や画像が足りない場合であっても、そのまま申請してしまいます。 ときには被害者に不利な意見書を一緒に提出する場合もあります。

やはり経験のある弁護士に依頼をして「被害者請求」の方法で申請するのが一番しっかりした後遺障害の等級が取れると思います。

②保険金の支払い時期が早くなる

「事前認定」の場合、等級が取れても保険金はもらえません。さらに示談交渉をして最終的な金額が決まらなければ保険金は払われません。

一方、「被害者請求」では、等級が取れればいったん自賠責保険分の保険金を受け取ることができます。ここが「事前認定」とは違います。

「被害者請求」のデメリット

①少し時間がかかる

「被害者請求」ではしっかりした書類集めが必要なため、書類集めのために1,2か月かかることがあります。ただ、1,2か月待てばきちんとした等級が取れ、場合によっては数千万円も保険金が増える、と思えば、待つ価値はあるのではないでしょうか。

②弁護士費用が掛かる

「被害者請求」は被害者ご自身でも申請できます。ただ、被害者請求のメリットは、どの書類についてどんなポイントでしっかり書いたものを集めていくかにかかってきます。したがって、ただ自分で書類を集めただけでは、何のメリットもありません。そのためどうしても専門家に依頼せざるを得ません。

ただ、弁護士に頼めばこういった書類集めはすべて任せられます。また最終的な示談交渉においてもご本人が交渉するよりもはるかに高い金額が得られることがほとんどです。弁護士費用を支払ってもその価値は十分あると思います。

交通事故に詳しい弁護士を選ぶ

実は弁護士にも専門分野というものがあります。弁護士ならば誰でも良いわけではなく、やはり経験が豊富な交通事故専門の弁護士を選ぶことが大切です。

また10級ともなれば、病院等から取り付ける資料や画像も膨大な量となります。その資料のなかから、被害者に対して重要なポイントを探し、より正しい申請をするための専門的な知識も必要です。だからこそ経験を積んだ弁護士が必要なのです。

弁護士が入ることで、現状がどうなのか、保険会社のいうことは適正なのか、今後どう行動すればよいか、などが情報として得ることができます。もちろん保険会社の対応がひどければ、裁判をしたり、もしくは裁判をしなくても適正な額について交渉することもできます。

正当な慰謝料・保険金を得るために、ぜひ一度アズール法律事務所にご相談ください。一緒に違う未来のために行動しましょう。