後遺障害11級とは?慰謝料と認定基準を弁護士が解説

後遺障害11級は、交通事故で眼・まぶた・歯・耳・背骨・手足の指などに特定の後遺症が残った場合に取得できる後遺障害等級です。
後遺障害11級を取得すると慰謝料等がいくら支払われるのか、そしてどんな症状なら11級に認定されるのかを解説します。

後遺障害11級の後遺障害慰謝料

後遺障害11級の被害者の方が受け取れる慰謝料には「後遺障害慰謝料」と「入通院慰謝料」があります。まずは後遺障害等級に応じて支払われる「後遺障害慰謝料」について説明します。

後遺障害慰謝料は同じ等級でも採用される「基準」によって金額が変わります。

自賠責保険の基準

加害者が任意保険に加入していない場合は、自賠責保険から11級の後遺障害慰謝料として136万円が支払われます。自賠責保険はすべての車の所有者に加入が義務付けられています。

任意保険の基準

任意保険というのはいわゆる自動車保険です。加害者が自動車保険に加入している場合は、保険会社が後遺障害慰謝料を支払います。保険会社は慰謝料額を公表していませんが、私の経験からすると自賠責保険と同額か少し上回る程度と感じます。

弁護士基準

弁護士が介入した場合の8級の後遺障害慰謝料の相場は約420万円です。「自賠責保険の基準」が136万円ですから、「弁護士基準」になるだけで約280万円も違いが出てきます。

どうして「弁護士基準」は高いのでしょうか? これは、実際に裁判で争った結果に基づいているからです。個人で裁判を行うのはとても大変ですが、弁護士に相談することで相手の保険会社も「弁護士基準」での交渉に応じます。

後遺障害11級で受け取れるその他の保険金

後遺障害慰謝料のほかに受け取れる保険金としては以下のものがあります。いずれも保険会社に任せた場合と、弁護士が入った場合とでは金額が大きく違ってきます。

  自賠責保険 弁護士基準
後遺障害慰謝料、逸失利益などの合計 上限331万円 上限なし
入通院慰謝料、治療費などの合計 上限120万円 上限なし

逸失利益

後遺障害によって事故前と同じ仕事ができなくなり減ってしまう収入を補償するものです。11級の労働能力喪失率は20%とされています。

入通院慰謝料

けがの治療のために入通院したことに対する慰謝料です。入通院した期間に応じて支払われます。

休業補償

けがの治療で仕事を休んで減ってしまった収入を補償するものです。

治療費など

けがの治療のための入院や通院、それに伴う交通費なども加害者側に請求することができます。

後遺障害11級が取得できる後遺障害の症状は?

後遺障害11級が取得できる症状にはどのようなものがあるでしょうか。
体のどの部分に後遺障害が残れば後遺障害11級が認められるかを見ていきましょう。


11級1号 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

調節機能障害

両眼の眼球は、「水晶体」が調節機能を担当しています。調節機能を図る「アコモドポリレコーダー」等の測定機器で数値を計測します。
具体的には、目の機能が2分の1以下になった場合に調節機能障害がある、ということになります。

運動障害

目の運動障害は、眼球を動かす外眼筋の異常によって起こります。 後遺障害認定上は、視野計で視野の範囲を測定します。
両眼で視野が2分の1以下になった場合に11級1号に認定されます。 単眼(目のうちの一つだけ)であれば12級1号に認定されます。

11級2号 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

この著しい運動障害には2つの状態が当てはまります。

兎眼(とがん)

これはまぶた(瞼)を閉じたつもりなのに完全に目を閉じられず、角膜(要するに黒目部分)が見えてしまっているものをいいます。

眼瞼下垂(がんけんかすい)

これは兎眼とは逆で、まぶた(瞼)を開けたつもりなのに完全に目が開かず、眼球が瞼で一部覆われてしまっているものをいいます。

兎眼または眼瞼下垂が両眼にあれば11級2号が、単眼であれば12級2号に認定されます。

11級3号 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

目を閉じたときにまぶた(瞼)で「角膜」を覆いきれない場合、11級3号と認定されます。「角膜」とは、要するに目の黒目の部分です。

なお、片眼で11級3号ですが、両眼ならば9級4号になります。
「角膜」は覆えるけど白目が出てしまう場合、片眼で14級1号、両眼で13級4号になります。ちなみに、右目左目の区別はありません。

11級4号 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

「補綴」は「ほてつ」と読みます。要するに失った歯を治すことです。 「失った」とは、一つの歯の4分の3以上を失った場合に後遺障害等級の対象となります。 10歯以上を補綴すると11級4号となります。

11級5号 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

実際には聴力検査を行って測定値(dB、デシベル)がある一定の値を示さないと後遺障害等級は取れません(メートルで測ったりはしません)。後遺障害の説明は実際の判定基準と違ってすごく抽象的なので分かりづらいのです。
オージオメーターなどで測定し、40dB以上の音しか聞き取れない場合、11級5号になります。

11級6号 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの

実際にはやはり測定機器を使ってdBで測定することになります。
片方の耳が70dB ~ 80dB未満で、言葉を言葉として聴き取れる明瞭度が最高50%以下の場合は11級6合になります。

脊柱(背骨)

11級7号 脊柱に変形を残すもの

11級では比較的多い後遺障害です。 レントゲン写真などで脊柱(背骨)に変形がみられる場合に認定となります。 ただ、脊柱の変形は医師でも分かりづらいところがあるようで、かならずしも取りやすい等級ではありません。

手の指

11級8号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

片手の人差し指・中指・薬指のうちのどれか1本を失った場合、11級8号となります。
「指を失ったもの」とは、人差し指・中指・薬指の第二関節(PIP関節)より先を切断した場合です。

足の指

11級9号 足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの

片足の親指を含む2本以上の指の「用を廃した」場合に11級9号となります。「用を廃した」というのは、次のような場合です。

  • 第1の足指(親指)の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
  • 第1の足指以外の足指を中節骨若しくは基節骨を切断したもの又は遠位指節間関節若しくは近位指節間関節において離断したもの
  • 中足節指関節又は近位指節間関節(第1の足指にあっては指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの

臓器(内蔵)

11級10号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

「胸腹部臓器」といっても多くの臓器があります。

  • 呼吸器(呼吸困難かどうか)
  • 循環器(心臓の機能など)
  • 腹部臓器(食道・胃・小腸・大腸・肝臓・胆のう・すい臓など)
  • 泌尿器(じん臓・尿管・膀胱・尿道)
  • 生殖器(こう丸・陰茎・勃起障害・射精障害・膣口狭さく・卵巣など)

それぞれに基準がありますので、すべては書き尽くせません。 例えば、勃起障害では、リジスキャン検査などで十分な勃起が認められないことなどを検査していくことになっています。

後遺障害11級を取るために一番よいやり方は

ここまではどういう後遺障害が11級として認められるか、をご紹介しました。 ただ、きちんと申請をしないと、後遺障害11級に認められません。

後遺障害等級は、「損害保険料率算出機構」というところに「申請」をして等級を認めてもらう必要があります。2通りの申請方法があります。

「事前認定」と「被害者請求」です。

事前認定

相手方(加害者)の保険会社が申請を行う方法

被害者請求

被害者(もしくは被害者側の弁護士)が申請を行う方法

要するに相手方が申請するのが「事前認定」、被害者側が申請するのが「被害者請求」です。

「被害者請求」のメリット

①しっかりした申請ができる

「被害者請求」では、被害者側の弁護士が被害者に有利になるようにレントゲン画像などをきちんと集めて提出します。また被害者に有利なように意見書などを作成することもあります。

一方、「事前認定」を行う保険会社は被害者にとっては相手方です。相手方が被害者に有利なように申請をしてくれるはずがありません。必要と思われる書類や画像が足りない場合であっても、そのまま申請してしまいます。 ときには被害者に不利な意見書を一緒に提出する場合もあります。

やはり経験のある弁護士に依頼をして「被害者請求」の方法で申請するのが一番しっかりした後遺障害の等級が取れると思います。

②保険金の支払い時期が早くなる

「事前認定」の場合、等級が取れても保険金はもらえません。さらに示談交渉をして最終的な金額が決まらなければ保険金は払われません。

一方、「被害者請求」では、等級が取れればいったん自賠責保険分の保険金を受け取ることができます。ここが「事前認定」とは違います。

「被害者請求」のデメリット

①少し時間がかかる

「被害者請求」ではしっかりした書類集めが必要なため、書類集めのために1,2か月かかることがあります。ただ、1,2か月待てばきちんとした等級が取れ、場合によっては数千万円も保険金が増える、と思えば、待つ価値はあるのではないでしょうか。

②弁護士費用が掛かる

「被害者請求」は被害者ご自身でも申請できます。ただ、被害者請求のメリットは、どの書類についてどんなポイントでしっかり書いたものを集めていくかにかかってきます。したがって、ただ自分で書類を集めただけでは、何のメリットもありません。そのためどうしても専門家に依頼せざるを得ません。

ただ、弁護士に頼めばこういった書類集めはすべて任せられます。また最終的な示談交渉においてもご本人が交渉するよりもはるかに高い金額が得られることがほとんどです。弁護士費用を支払ってもその価値は十分あると思います。

交通事故に詳しい弁護士を選ぶ

実は弁護士にも専門分野というものがあります。弁護士ならば誰でも良いわけではなく、やはり経験が豊富な交通事故専門の弁護士を選ぶことが大切です。

また、11級を取得するために病院等から取り付ける資料や画像も膨大な量となります。その資料のなかから、被害者に対して重要なポイントを探し、より正しい申請をするための専門的な知識も必要です。だからこそ経験を積んだ弁護士が必要なのです。

弁護士が入ることで、現状がどうなのか、保険会社のいうことは適正なのか、今後どう行動すればよいか、などが情報として得ることができます。もちろん保険会社の対応がひどければ、裁判をしたり、もしくは裁判をしなくても適正な額について交渉することもできます。

正当な慰謝料・保険金を得るために、ぜひ一度アズール法律事務所にご相談ください。一緒に違う未来のために行動しましょう。