後遺障害12級とは?慰謝料と認定基準を弁護士が解説

後遺障害12級は交通事故のけがによって、眼・耳・歯・腕・足・指・各部の骨などに特定の後遺症が残った場合に取得できる後遺障害等級です。
後遺障害12級を取得すると慰謝料等がいくら支払われるのか、そしてどんな症状なら12級に認定されるのかを解説します。

後遺障害12級の後遺障害慰謝料

後遺障害12級の被害者の方が受け取れる「後遺障害慰謝料」には3つの基準があります。同じ等級でも採用される「基準」によって金額が変わります。

自賠責保険の基準

加害者が任意保険に加入していない場合は、自賠責保険から12級の後遺障害慰謝料として94万円が支払われます。自賠責保険はすべての車の所有者に加入が義務付けられています。

任意保険の基準

任意保険というのはいわゆる自動車保険です。加害者が自動車保険に加入している場合は、保険会社が後遺障害慰謝料を支払います。保険会社は慰謝料額を公表していませんが、私の経験からすると自賠責保険と同額か少し上回る程度と感じます。

弁護士基準

弁護士が介入した場合の12級の後遺障害慰謝料の相場は約290万円です。「自賠責保険の基準」が94万円ですから、「弁護士基準」になるだけで約200万円も違いが出てきます。

どうして「弁護士基準」は高いのでしょうか? これは、実際に裁判で争った結果に基づいているからです。個人で裁判を行うのはとても大変ですが、弁護士に相談することで相手の保険会社も「弁護士基準」での交渉に応じます。

後遺障害12級で受け取れるその他の保険金

後遺障害慰謝料のほかに受け取れる保険金としては以下のものがあります。いずれも保険会社に任せた場合と、弁護士が入った場合とでは金額が大きく違ってきます。

  自賠責保険 弁護士基準
後遺障害慰謝料、逸失利益などの合計 上限224万円 上限なし
入通院慰謝料、治療費などの合計 上限120万円 上限なし

逸失利益

後遺障害によって事故前と同じ仕事ができなくなり減ってしまう収入を補償するものです。12級の労働能力喪失率は14%とされています。

入通院慰謝料

けがの治療のために入通院したことに対する慰謝料です。入通院した期間に応じて支払われます。

休業補償

けがの治療で仕事を休んで減ってしまった収入を補償するものです。

治療費など

けがの治療のための入院や通院、それに伴う交通費なども加害者側に請求することができます。

後遺障害12級が取得できる後遺障害の症状とは

後遺障害12級が取得できる症状にはどのようなものがあるでしょうか。
体のどの部分に後遺障害が残れば後遺障害12級が認められるかを見ていきましょう。


12級1号 1眼の眼球に著しい調整機能障害又は運動障害を残すもの

「一眼の眼球」とは、要するに片方の眼の玉のことです。 「調整機能障害」とは、眼のピントを合わせる調整機能が低下したということです。「視力低下」とはちょっと違い、老眼のようなものです。 「アコモドポリレコーダー」という器械を使って測定します。2分の1以下に低下している場合に12級1号が取得できます。

「運動障害」とは、眼の玉の動きが制限されることです。 眼は上下・左右・斜めに動きますが、筋肉が麻痺して動かなくなった状態が「運動障害」です。 「ヘスコオルジメーター」という器械を使って測定します。2分の1以下に低下している場合に12級1号が取得できます。

12級2号 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

「まぶた」は、眼を覆う皮膚の部分のことです。 「まぶたに著しい運動傷害を残す」場合というのは、実は2種類あります。「開かない」場合と「閉じることができない」場合です。 「開かない」場合とは、まぶたを開こうとしても「瞳孔」(眼の黒い部分のさらに中心部分)まで開くことができない状態のことをいいます。 「閉じることができない」場合とは、まぶたを閉じようとしても「角膜」(こちらは眼の黒い部分です)を完全には覆えない状態のことをいいます。

12級3号 7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

「歯科補てつ」とは、交通事故で抜けたり欠けてしまったりした歯を義歯などで補修することをいいます。 歯の後遺障害診断書は、他の症状とは違い、特別な後遺障害診断書を書いてもらう必要があります。

12級4号 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの

「一耳の耳殻」とは、平たくいうと「耳たぶ」のことです。 「大部分の欠損」とは、耳たぶの2分の1以上を失ったことをいいます。

体の体幹骨

12級5号 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの

「体幹骨」とは、鎖骨・胸骨・ろく骨・けんこう骨・骨盤骨のことです。背骨や手足の骨は別の等級になります。 「著しい変形」とは、裸になってみて、これらの骨の変形が外から見てわかる程度のものかどうかで判断します。どんなに変形していても、外から見てわからないと12級5号を取得することができません。

体幹骨の説明
12級8号 長管骨に変形を残すもの

「長管骨」とは腕や足の長い骨のことで、

  • 「上腕骨」
  • 「橈骨(とうこつ)」
  • 「尺骨(しゃっこつ)

などがあります。こちらも外から見てわかることが条件になってきます。

長管骨の説明

腕・指

12級6号 1上肢の三大関節中の1関節に機能の障害を残すもの

「1上肢」とは「片方の腕」のことです。「三大関節」とは肩・ひじ・手首の関節のことです。

「機能の障害を残すもの」とは、次のことをいいます。

  • 関節の動きが75%以下(4分の3以下)に制限( 医師や理学療法士などにより肩などの関節の動きを器具を使って角度を測定します)
腕の3大関節
12級9号 1手の小指を失ったもの

「一手の小指」は、片方の手の小指のことです。「失ったもの」とは、小指の先から数えて2番目の関節以上に指を切断した場合をいいます。

12級10号 1手の人差し指、中指又は薬指の用を廃したもの

「用を廃したもの」とは下記のものをいいます。

  • 末節骨の長さを2分の1以上失った
  • 中手指関節または近位指節間関節の可動域が健康な側の可動域の2分の1以下
  • 指の深部感覚・表在感覚が完全に失くしたもの
12級準用 前腕の回内・回外については、可動域が2分の1以下に制限されているもの
時々硬性補装具を必要とするもの
習慣性脱臼

「準用」とは、後遺障害等級の表には書かれていないけれども、12級相当のものとして扱う、とされている症状です。

12級7号 1下肢の三大関節中の1関節に機能の障害を残すもの

「一下肢」は要するに片方の足のことです。「三大関節中の一関節」とは、股関節・ひざ関節・足関節のことです。「機能の障害を残すもの」とは、健康な側の足と比べて、曲がらなくなった足の動きが4分の3以下になってしまったことをいいます。

下肢の三大関節
12級11号 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの

12級11号にいう「失ったもの」とは、足の指のうち、2番目の指をPIP関節以上に失くしたものをいいます。

12級12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの

12級12号にいう「用を廃したもの」とは、2分の1以上曲がらなくなったものをいいます。

痛み

12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの

「頑固な神経症状」ですが、痛みが強いことではありません。この表現は実は正確ではないのです。等級の認定を受けるには、「頑固」かどうかよりも「客観的」かどうかがポイントになります。画像などで異常が見られることが重要です。

顔のキズ

12級14号 外貌に醜状を残すもの

12級14号にいう「外貌」とは、頭部・顔面部・頸部(首)です。 「醜状を残す」とは、以下の3つのことをいいます。

  • 頭については、鶏卵程度の傷あとまたは頭がい骨の鶏卵大程度の欠損
  • 顔面部については、10円玉以上の傷あとまたは長さが3センチメートル以上の線状の傷あと
  • 頸部(首)については鶏卵大以上の傷あと
後遺障害12級外貌醜状説明図

後遺障害12級を取るために一番よいやり方は

ここまではどういう後遺障害が12級として認められるか、をご紹介しました。 ただ、きちんと申請をしないと、後遺障害12級に認められません。

後遺障害等級は、「損害保険料率算出機構」というところに「申請」をして等級を認めてもらう必要があります。2通りの申請方法があります。

「事前認定」と「被害者請求」です。

事前認定

相手方(加害者)の保険会社が申請を行う方法

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被害者請求

被害者(もしくは被害者側の弁護士)が申請を行う方法

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要するに相手方が申請するのが「事前認定」、被害者側が申請するのが「被害者請求」です。

「被害者請求」のメリット

①しっかりした申請ができる

「被害者請求」では、被害者側の弁護士が被害者に有利になるようにレントゲン画像などをきちんと集めて提出します。また被害者に有利なように意見書などを作成することもあります。

一方、「事前認定」を行う保険会社は被害者にとっては相手方です。相手方が被害者に有利なように申請をしてくれるはずがありません。必要と思われる書類や画像が足りない場合であっても、そのまま申請してしまいます。 ときには被害者に不利な意見書を一緒に提出する場合もあります。

やはり経験のある弁護士に依頼をして「被害者請求」の方法で申請するのが一番しっかりした後遺障害の等級が取れると思います。

②保険金の支払い時期が早くなる

「事前認定」の場合、等級が取れても保険金はもらえません。さらに示談交渉をして最終的な金額が決まらなければ保険金は払われません。

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一方、「被害者請求」では、等級が取れればいったん自賠責保険分の保険金を受け取ることができます。ここが「事前認定」とは違います。

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「被害者請求」のデメリット

①少し時間がかかる

「被害者請求」ではしっかりした書類集めが必要なため、書類集めのために1,2か月かかることがあります。ただ、1,2か月待てばきちんとした等級が取れ、場合によっては数千万円も保険金が増える、と思えば、待つ価値はあるのではないでしょうか。

②弁護士費用が掛かる

「被害者請求」は被害者ご自身でも申請できます。ただ、被害者請求のメリットは、どの書類についてどんなポイントでしっかり書いたものを集めていくかにかかってきます。したがって、ただ自分で書類を集めただけでは、何のメリットもありません。そのためどうしても専門家に依頼せざるを得ません。

ただ、弁護士に頼めばこういった書類集めはすべて任せられます。また最終的な示談交渉においてもご本人が交渉するよりもはるかに高い金額が得られることがほとんどです。弁護士費用を支払ってもその価値は十分あると思います。

交通事故に詳しい弁護士を選ぶ

実は弁護士にも専門分野というものがあります。弁護士ならば誰でも良いわけではなく、やはり経験が豊富な交通事故専門の弁護士を選ぶことが大切です。

アズール法律事務所では、交通事故の被害者の皆様に寄り添うことを第一に、日々保険会社と真剣に交渉しております。
一度ご相談いただけたら、きっと新しい未来が見えてくると思います。