高次脳機能障害を弁護士に相談するメリット

アズール法律事務所では、交通事故を専門的に扱う弁護士として、高次脳機能障害で苦しむ被害者の方を数多くサポートしています。

高次脳機能障害は事故で頭を打ち、一時的に意識不明となった場合に多く見られる後遺症ですが、「話す」「覚える」「考える」など、人の脳の高度な機能に障害が生じます。仕事や日常生活に大きな影響が出るので、ご本人はもちろんご家族も、非常につらい思いをされています。
それだけに、しっかりと慰謝料などの賠償金を受け取ることが、将来のためにも重要なのです。

ただ、高次脳機能障害は外見からは判りにくいこともあり、適正な金額を受け取るためには、どうしても専門的な知識が必要になります。したがって、ご家族が直に相手側の保険会社と交渉するよりも、高次脳機能障害にくわしい弁護士のサポートを受けたほうが様々な面でメリットがあるのです。

この記事では

・高次脳機能障害を弁護士に相談するメリット
・実際に相談を受けた高次脳機能障害の症状
・適正な慰謝料などを受け取る方法

などをくわしく解説します。

この記事が、交通事故による高次脳機能障害で悩んでいる被害者とご家族の方のお役に立てば幸いです。具体的なご相談が必要な場合には、どうぞお気軽にアズール法律事務所にお問い合わせください。

交通事故での高次脳機能障害の無料相談
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高次脳機能障害を弁護士に相談するメリット

交通事故での「頭部外傷」「脳挫傷」「意識障害」などにより、高次脳機能障害の可能性がある場合、専門の医師の診断を受けるだけでなく、専門知識を持った弁護士にも相談していただきたいと考えています。
それはなぜなのか? どういったメリットがあるのか?
事故直後から賠償金の交渉まで、順に解説します。

1.事故発生直後

事故直後は救命、そしてケガの治療が最優先となります。ご家族にとっても、慰謝料や賠償金について考える余裕がないというのは当然です。
しかし後々の賠償金請求を行うために重要な点がいくつかあります。
弁護士がサポートすることで、こうした点についても見落とすことなく、対応することができます。

・意識障害の記録をとる

後に高次脳機能障害の認定を受ける際に、意識不明の状態がどれくらい続いたか、意識障害の程度や時間がしっかりと診断書等に記載されているかが問題になります。必要であれば担当医師に記述を促すべきです。

・CT・MRIでの画像を撮影する

事故によって、どれほど脳に損傷があったのかを確認できるCTやMRIなどの画像資料を、後遺障害の審査時に提出する必要があります。回復後の画像だけでは確認しにくい損傷もあるので、事故後できるだけ早いタイミングでCTやMRIを撮っておく必要があります。

頭部のCT画像
頭部のMRI画像

※X線を使うCTでは頭蓋骨の状態がよく確認できます。一方、電磁波を使って撮影するMRIではより鮮明に脳の状態を確認することができます(画像の右上に血腫が確認できます)。

・事故状況を確認しておく

過失割合が問題となるような交通事故では、しっかりと事故状況を確認して記録しておくことが重要です。被害者ご本人から話を聞くことができれば良いのですが、意識が回復しない場合や、思い出せない、うまく話せないという場合も多いと思います。
その場合は目撃者の有無やドライブレコーダーに記録が残っていないか調査するという方法もあります。いずれにしろ、事故から時間が経つほど調査が難しくなるので、早めに動く必要があります。

2.治療中

高次脳機能障害につながるような交通事故の場合、治療には半年から1年以上かかるケースがほとんどです。治療費用については加害者側の保険から支払われるのが通常ですが、その間の生活費や、こまごまとした雑費については問題になることが度々あります。
こうした点についてまで、ご家族が気を配るのは大きな負担となります。しかし弁護士がサポートすることで、そのほとんどは解消できます。

・付き添い交通費の請求

完全介護体制が整った病院では、入院中の家族の付き添いは必要ないとされます。そのため、家族が付き添いや見舞いに病院に行く際の交通費も、通常は保険会社からは支払われません。
しかし、被害者が幼い場合や、医師が家族による付き添いが必要と判断した場合は、付き添い交通費を請求できる場合があります。できれば診断書などの書面に「付き添いが必要」と記載してもらうのが良いでしょう。詳しくは弁護士にご相談ください。

・入院雑費・介護雑費の請求

入院中に必要になる諸々の費用(シーツ代、おむつ代、ウェットティッシュ代等)については個別に精算するのではなく、おおまかに日額が決められています。保険会社が提示する金額は自賠責基準の日額1,100円程度という場合が多いようです。一方、弁護士基準では入院雑費は日額1,500円で計算します。弁護士が入ることで増額するケースがほとんどです。

退院後の介護にかかる雑費が必要になる場合についても、入院雑費と同等の金額をベースに請求するケースが多くなります。しかし個々の事情により、それ以上の金額が必要になる場合は実費をベースに交渉することになります。実費を証明するために、領収証等は保管しておくようにしましょう。

・健康保険の使用を検討する

通常、交通事故によるケガの治療の場合、病院側は自由診療として取り扱います。治療費は加害者側の保険会社が支払うので、自身の健康保険を使う必要はないといえます。

しかし、被害者側に少しでも過失がある場合は健康保険を使うメリットがあります。過失割合に応じて、被害者も治療費を負担する必要があるためです。
例えば300万円の治療費がかかるケースで、被害者の過失割合が2割とすると60万円を負担しなければなりません。健康保険を使えば治療費は3割負担で済むので90万円となり、過失割合が2割なら18万円の負担で済みます。
ただし、保険適用外の高度な治療を行う場合は自由診療を選ぶほかありません。総合的な判断が必要になります。
また健康保険の使用を渋る病院もあるようです。こうした場合も弁護士にご相談ください。

・休業損害の交渉

「休業損害」とは、交通事故の治療のために仕事ができず減ってしまった収入を埋め合わせる賠償金です。通常は相手側の保険会社から治療期間中に毎月支払われます。

たとえば被害者の方が会社員の場合は、仕事を休んだ時の損害額も比較的簡単に計算できます。しかし、個人で仕事をしている場合や主婦の場合、そして求職中の場合などは、それぞれの事情にあわせて保険会社と交渉する必要があります。
こういった交渉についても、専門知識を持った弁護士が行うことで、より有利な結果となる可能性が高くなります。

3.症状固定

「症状固定」とは、治療を終了して、後遺障害を確定することです。具体的には担当の医師の判断で「後遺障害診断書」を発行した日付が、症状固定日となります。
症状固定の後は治療費は打ち切りになり、それ以降にかかる費用は後遺障害の賠償金として相手側の保険会社に請求することになります。ただし、賠償金が請求できるのは、後遺障害等級が認定された場合のみなので注意が必要です。

どの後遺障害等級に認定される可能性があるのか、実際にどれくらいの賠償金を請求できるのかについては、弁護士にご相談いただければ、ある程度の見通しが立ちます。症状固定にすべきかどうかについても、的確な判断が可能となります。

・高次脳機能障害の症状固定時期

高次脳機能障害の症状固定は、頭部外傷の症状が十分に回復し、安定した状態となった後に判断します。また、リハビリによって症状が改善する場合も少なくありません。そのため、少なくとも事故から1〜2年程度経過してからが症状固定の目安となります。
なお、被害者が成長期の子供の場合は、脳の成長によって障害がさらに改善する可能性があります。そのため、適切な時期まで経過観察をしてから症状固定を判断するケースが多くなります。

高次脳機能障害については、脳神経外科的な診断だけでなく、神経心理学的な検査が必要となるため、専門医の診断・評価を受けるのが望ましいとされます。
治療中の病院で適切な診断が受けられない場合は、専門病院を受診することも選択肢となります。たとえば、国立障害者リハビリテーションセンターに開設されている高次脳機能障害専門外来もそのひとつです。

・後遺障害診断書の作成依頼

後遺障害の審査では、症状固定の時に発行される「後遺障害診断書」が非常に重要になります。脳の外傷に関する記述や、事故後の意識障害に関する記述、高次脳機能障害の症状についての記述などが、しっかりと確認できるのが望ましいです。

しかし医師は「治療すること」が本来の役割ですので、後遺障害等級認定に詳しい方は少ないのが実情です。そのため、弁護士が助言を行うことで、より適切な後遺障害診断書を作成することができることも多いのです。高次脳機能障害の症状固定の際には弁護士にも相談することをおすすめします。

4.後遺障害等級認定

交通事故による「高次脳機能障害」で、慰謝料などの賠償金を受け取るためには「後遺障害等級」が認定されることが必要になります。この後遺障害等級認定についても弁護士が関与するメリットがあります。

・後遺障害の審査手続き

後遺障害の審査の手続きには、おおまかに2つの方法があります。ひとつは加害者側の保険会社によって行われる「事前認定」、そしてもうひとつは被害者側の弁護士が行う「被害者請求」です。

後遺障害等級の認定審査は基本的に書類で行われるので、多数の書類や資料を揃える必要があります。「事前認定」では、この作業を相手側の保険会社に任せることになります。
一方、「被害者請求」では弁護士が中心となって後遺障害診断書をはじめとする書類を集め、できるだけ被害者の方が有利になるように内容を吟味し、必要であれば修正や追加を行います。結果として、弁護士が入ったほうが正当な等級が認定される確率が高くなるといえます。

・適正な後遺障害等級の認定を受ける

高次脳機能障害はその症状の重さで「後遺障害等級」が決まります。該当する後遺障害等級は「1級(要介護)」「2級(要介護)」「3級」「5級」「7級」「9級」です。それぞれの認定基準は以下のとおりです。

1級1号
(要介護)
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号
(要介護)
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級3号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

おおまかに言えば、高次脳機能障害の症状が重く、日常生活に必要な行動(食事、入浴、排泄など)に介護が必要なら1級または2級となります。
日常生活に必要な行動は行えるものの、仕事をすることは全くできないと判断されれば3級、ある程度の仕事ができるならば5級~9級と判断されます。

このように、ある程度の基準は決まっているものの、あいまいな部分も多く、審査する側の判断によるところも大きいのです。したがって、最終的にどの等級に認定されるかは、提出する書類や資料によって大きく変わってきます。
高次脳機能障害の経験が豊富な弁護士であれば、ポイントを抑えた書類の準備が可能なので、おのずと的確な等級に認定されやすくなると言えます。

・高次脳機能障害が認定されるための条件

「高次脳機能障害」が「後遺障害」として認定されるためには、次の①~③の条件を満たす必要があると言われています。

①事故による脳へのダメージが確認できること

交通事故による高次脳機能障害が認められるためには「事故によって頭に強い衝撃を受けて、脳に損傷が生じていること」が条件になります。
具体的には、事故の後の診断書に「脳挫傷」「頭蓋骨骨折」「硬膜外血腫」「硬膜下血腫」「脳内血腫」「びまん性脳損傷」などの脳外傷を示す診断名が記載されていることが望ましいと言えます。

また、画像で脳にダメージがあることが確認できることも重要です。できるだけ早いタイミングからCTやMRIでの撮影を複数回行い、脳の損傷や脳萎縮等の進行を記録しておくことが必要になります。

②事故後6時間以上の意識障害があったこと

交通事故による高次脳機能障害が認められるためには、事故後に少なくとも6時間、通常は24時間以上の意識障害、いわゆる意識不明の状態であったことが要件になります。

③高次脳機能障害の症状が確認できること

交通事故による高次脳機能障害が認められるためには「注意力の低下」「記憶力の低下」「判断力低下、知能低下」「情緒不安定」「暴言・暴力」などの具体的な高次機能障害の症状が生じていることの記載が、入通院中の経過診断書や後遺障害診断書に、必要になりまます。そのためには、医師により行われる各種の神経心理学的検査の結果を診断書に記載することが必要です。

それに加えて、ご家族による日常生活報告書を作成し、被害者の方の事故の前後での性格や知能の変化をしっかりと伝えることも重要です。性格変化などの社会行動能力は数値化することは難しく、身近にいるご家族の意見が非常に重要になります。

・後遺障害認定に必要な書類・資料

高次脳機能障害の後遺障害認定に必要な書類・資料の主なものは以下のとおりです。被害者やご家族の方が自力で揃えることもできなくはないのですが、知識や経験のある弁護士などに依頼したほうが確実で、より良い結果に繋がります。

・保険金・損害賠償額・仮渡金支払い請求書
・交通事故証明書
・事故発生状況報告書
・診断書(事故発生から治療終了まで)
・後遺障害診断書
・頭部の画像検査資料(CT・MRIなど)
・診療報酬明細書
・通院交通費明細書
・請求者の印鑑証明
・日常生活状況報告書
・神経系統の障害に関する医学的意見書
・頭部外傷後の意識障害についての所見

所定の書類に加えて、事故の前後で被害者の方の日常の状況が具体的にどう変わったかをご家族の言葉で記載する日常生活状況報告書や、担当医師の意見書なども必要になります。
また、事故状況や障害の影響などについて弁護士の意見書を添えることもあります。後遺障害認定については、一度結果が出ると、それを覆すのは相当に難しいので、弁護士としてもできるだけのことをしておきたいと考えています。

5.示談交渉、裁判

後遺障害等級が認定されても、実はそれだけでは賠償金を受け取ることはできません。慰謝料などの賠償金を実際に支払う相手側の保険会社と交渉して金額を決定する必要があります。

・保険会社との交渉

金額の決め方は2種類です。被害者の方が直接に保険会社と交渉するか、弁護士が代理人として保険会社と交渉するかです。どちらを選ぶかによって受け取れる金額が大きく違ってきます。
保険会社はいわば交渉のプロです。そして自社の利益を確保するために、被害者の方にとって不利な金額を提示することがほとんどです。それに対抗するには、被害者側も交渉のプロである弁護士を頼っていただくのが最善の方法となります。

・保険会社の基準と弁護士基準の違い

被害者の方が直接に保険会社と交渉する場合、ベースとなる金額は「任意保険基準」という保険会社が独自に決めた基準で決定されます。これは総額で見ると、ほぼ最低限とされている金額か、それよりは少し多い程度であることがほとんどのようです。

これに対して、弁護士が保険会社と交渉する場合には「弁護士基準(裁判基準)」での計算となります。これは、交通事故の裁判での判決例をもとにつくられた基準です。被害者の方が本来受け取るべき金額の目安ともいえるでしょう。

その結果、弁護士が交渉した場合は、保険会社と直接交渉した場合に比べて、慰謝料などの賠償金は大幅に増額することがほとんどです。実際に2倍以上の金額が受け取れることも珍しくありません。

・将来介護費用、自宅・車の改造費用の交渉

重度の高次脳機能障害の場合は、食事・入浴・排泄などの日常動作をひとりでは行えなくなることから「要介護」状態となります。こうした場合は、これから先にかかる介護費や、自宅や車の改造費なども必要になります。
しかし、これら費用を保険会社はなかなか支払おうとしません。弁護士が裁判することも辞さないという姿勢で交渉することで、どうにか支払いに応じるというのが実際です。

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害は脳の一部の損傷により発症する後遺障害です。外見ではわかりにくくても、ご家族から見て「事故前とは人格が変わってしまった」「事故後どうも様子がおかしい」と感じた場合は必ず専門病院での診断を受けてください。

交通事故による「高次脳機能障害」では「話す」「覚える」「考える」など、脳の高度な機能にさまざまな障害が生じます。ここでは、弁護士に相談をいただいた方々からの、高次脳機能障害の具体的な症状を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1.注意障害

注意障害は「物事に集中できない」「周りに注意を向けることができない」といった高次脳機能障害の症状です。

  • 本を読んだりテレビを見ていても、生活音や人の声が気になって途中で中断してしまう。
  • 一人で風呂に入ると、熱い熱湯が出ているのに平気でその熱い温度の風呂に入りっぱなしになっている。
  • 事故前は綺麗好きだったが、事故後は片付けやゴミを捨てることが出来ず、あちこちに物が散乱している。
  • ぼんやりしていて自分の周りの人や事象に関心を示さない。
  • 作業にミスが多い。気が散りやすい。

2.記憶障害

記憶障害は「思い出せない」「新しく覚えることができない」といった高次脳機能障害の症状です。

  • 自分で財布や携帯を机に置いたのに、置いた場所を忘れてしまい、イラついて人に八つ当たりしてしまう。
  • 記憶に関してはメモを取るようにしているが、書いたメモを自分でどこに置いたか忘れてしまう。妻にすぐ伝えて覚えていてもらっている。
  • 自分の名前や家族の名前は憶えているが、事故後に出会った医者や看護師の名前は覚えられず、何度も名前を聞いてしまう。
  • 事故後、入院中の最初の10日間くらいは全く記憶がなく、退院してか  らも、場所を覚えられず、目的地に辿り着けず迷子になってしまう。
  • 人の名前が覚えられない。顔と名前が一致しない。
  • 暗算が出来ない。簡単な計算も出来ないため、買い物も一人では難しい。
  • スーツをクリーニングに出したことを忘れてしまい1度も着用していないのに再び出してしまう。
  • 子供の習い事が何曜日なのか何度聞いても覚えられない。メモを取る習慣を付けようと努力するが、そのメモをどこに書いたか忘れてしまう。
  • 電話を受けて、相手とは普通に話をしていたが、翌日になると電話があったことすら覚えていない。
  • 隣の家の名前が出てこない。仕事仲間の名前が思い出せない。
  • 字を書くときに漢字が思い出せない。
  • 外食をするとき、自分の注文したものを忘れてしまう。
  • 事故後に会った医者や看護師の名前が覚えられない。

3.遂行機能障害

遂行機能障害は「事態の変化に対応できない」「ものごとの段取りが悪い」といった高次脳機能障害の症状です。

  • 時間の感覚が分からず、時間を守ることができない。準備をするとき、家を出なくてはならない時刻までの逆算ができない
  • 以前やっていた仕事の段取りが出来なくなった。途中で順番が混乱してしまう。
  • 自分で計画を立ててものごとを実行することができない。
  • 人に指示してもらわないと何もできない。
  • 電話をしながらメモを取るなど、一度に2つ以上のことをすると、頭が混乱しパニックになってしまう。
  • 時間を逆算しながら行動をとることが難しい。

4.社会的行動障害

社会的行動障害は、行動や言動、感情をその場の状況にあわせてコントロールできなくなる高次脳機能障害の症状です。

  • 事故後は殆ど外出していないが、スーパーなどに行った際、人が大勢いる中で大きい声を出したり、怒鳴ったり、物に当たったりしてしまう。
  • 自分が納得できなかったり、自分の思い通りにいかないと、すぐに声を荒げて怒ってしまう。ほぼ毎日、妻に些細なことでも過剰に反応して、当たり散らしてしまう
  • やる気が出ず、自分から何もしなくなった。
  • 自己中心的になった。思い通りにならないと大声を出す。
  • 時間通りに行動できず、自分がやりたいことに固執してしまう。
  • ちょっとしたことでも笑うようになり、おかしくないことでも笑うようになってしまった。あまり頭で考えることが無くなった。
  • 車椅子の操作に対しての助言を聞かず、自分の決めた方法に固執してしまう。
  • 自分の思い通りにならないと、すぐに声を荒げて怒る。些細なことでも過剰に反応して家族に当たり散らしてしまう。

5.失語症

失語症(しつごしょう)は「言葉が出てこなくなる」「相手の話す内容がわからない」といった高次脳機能障害の症状です。

  • 相手の話を理解できない。
  • 事故前のように滑らかにしゃべることができない。
  • 字の読み書きができない。
  • 言い間違いが多く、意味が通らない。

6.失行症

失行症(しっこうしょう)は「簡単な動作やマネができない」「使い慣れた物が使えない」という高次脳機能障害の症状です。

  • 使い慣れた道具がうまく使えない。
  • 以前やっていた仕事の段取りが出来なくなった。途中で順番が混乱してしまう。
  • 意識しないときは問題なくできる動作が、意識するとできなくなる。

7.失認症

失認症(しつにんしょう)は視力や聴力、触覚に問題がないのに、見たもの、聞いたもの、触ったものが何かわからないという高次脳機能障害の症状です。

  • 人の顔がわからない、見分けられない。
  • 物の形(色)がわからない。
  • 麻痺しているわけでもないのに、片側の身体を使わない。
  • 片側を見落としやすい。片側にあるものにぶつかりやすい。
  • 麻婆豆腐や焼きそばなど、単語を言われてもどんな物か思い出せない。

高次脳機能障害の慰謝料・賠償金

交通事故による「高次脳機能障害」で後遺障害等級が認定されると、相手側の保険会社等から慰謝料などの賠償金を受け取ることができます。後遺障害等級やそ被害者の方の状況によって金額は変わってきますが、症状が重い場合は合計2億円をこえる賠償金を受け取った例もあります。

ここでは実際にどのような賠償金を受け取れるのかを紹介します。

傷害(入通院)慰謝料

交通事故でケガをした場合、入院や通院をした期間に応じて「傷害(入通院)慰謝料」が請求できます。

「傷害(入通院)慰謝料」は「けがをしたことによる精神的な苦痛に対する賠償」ですが、「精神的な苦痛」をそのまま金額に換算するのは難しいので、けがの治療に要した期間で金額を決定します。

弁護士基準の「傷害(入通院)慰謝料」の相場はおおよそ下記の通りです。
自賠責保険基準と比べると、ほぼ倍以上の金額になります。

弁護士基準自賠責保険基準
・入院1ヶ月につき約50万円
・通院1ヶ月につき約25万円
※実際の金額は赤い本の入通院慰謝料表(別表1)によります
※むちうちなどの軽症では金額が異なります(同 別表2)
・入通院1日につき4,300円
※治療費、休業損害との合計が120万円までの上限あり

後遺障害慰謝料

交通事故による「高次脳機能障害」で後遺障害が認定された場合は、相手側の保険会社等から「後遺障害慰謝料」を受け取ることができます。これは後遺障害等級によっておおよその金額が決まっています。

「高次脳機能障害」で認定される可能性のある後遺障害等級と後遺障害慰謝料の金額は以下のとおりです。

後遺障害等級 後遺障害慰謝料
(弁護士基準)
1級(要介護) 2800万円
2級(要介護) 2370万円
3級 1990万円
5級 1400万円
7級 1000万円
9級 690万円

ただし、この金額は弁護士のサポートを受け、保険会社との交渉を「弁護士基準」で行なった場合のものです。保険会社にまかせた場合の提示額はこの半分以下になってしまう場合も少なくありません。

逸失利益

「高次脳機能障害」の症状がある場合、事故の前と同じように仕事をして収入を得るのは難しくなります。場合によっては全く仕事ができなくなって収入がゼロになってしまうことも考えられます。

そうした失われてしまう将来の収入は「逸失利益」として、相手側の保険会社に請求することになります。被害者の方の年齢によっては、数十年分の収入額ということになる場合もあります。

逸失利益の計算式

基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数(労働能力喪失期間による)

「逸失利益」は上の式で計算されます。
計算のベースとなる「基礎収入」をいくらに設定するか、後遺症が仕事に与える影響(労働能力喪失率)をどのくらいと考えるか、事故がなければあと何年働くことができたと考えるか(労働能力喪失期間)などについては、弁護士と保険会社の意見が割れることが多くなります。

保険会社に任せた場合は、なるべく支払い額を少なくしたいという思惑から、十分な「逸失利益」を認めてくれないことが多々あります。

これに対して弁護士が入った場合は、被害者の方が受け取るべき正当な金額を主張します。そのため「逸失利益」についても、弁護士に依頼すると有利になる場合がほとんどです。

後遺障害等級 労働能力喪失率の目安
1級(要介護) 100%
2級(要介護) 100%
3級 100%
5級 79%
7級 56%
9級 35%

将来介護費など

高次脳機能障害の症状が重い場合、日常生活に必要な動作も自力で行うことができません。これから先の生活では介護や声がけが必要になります。ヘルパーや介護士などの専門の人を雇う場合はもちろん、家族が仕事を休んで介護をする場合も「将来介護費」として今後の介護費用を相手側の保険会社に請求することができます。

こうした費用を受け取るためには、相手側の保険会社に対して的確な請求をして、しっかりと交渉する必要があります。ただ待っているだけで保険会社から支払われる…といことはほとんど無いと言ってもよいでしょう。

しかし、被害者の方からすると、何をどのように請求したらよいのかわからないというのが現実ではないでしょうか。こうした交渉についても、実績がある弁護士にご相談いただくことで、漏れなく保険会社に請求することが可能になります。
これらの積み重ねで、弁護士が入った場合の被害者の方が受け取る最終的な賠償金は、保険会社の提示額の数倍になることもめずらしくありません。

高次脳機能障害の賠償金事例

実際に被害者の方の代理人として弁護士が入って示談交渉や裁判を行い、高額の賠償金を獲得した「高次脳機能障害」事例を紹介します。

賠償金の内容や金額はそれぞれの被害者の方の状況により異なりますが、どんな項目でどれくらいの金額が受け取れるのか、参考にしてください。

①高次脳機能障害で後遺障害1級、約2億3293万円の賠償金が認められた事例

オートバイで交差点を通過中に信号無視の自動車に衝突されたAさん(45歳男性)は脳挫傷の重傷を負い、治療後も重度の高次脳機能障害や右半身麻痺の後遺症が残ってしまいました。

常時介護が必要な状態ということで後遺障害1級1号(要介護)に認められましたが、賠償金額については保険会社とのあいだで裁判になり、判決では下記の賠償金が認められらました。(平成22年10月 東京地裁判決)

項目 賠償金額
治療費 13万円
入院雑費 61万円
通院及び付添交通費 193万円
傷害慰謝料 370万円
付添費 214万円
休業損害 488万円
後遺障害慰謝料 3000万円
逸失利益 8331万円
将来の付添介護費 8747万円
車椅子代 130万円
車両改造費 210万円
自宅改造費 890万円
仮住まい・引越費用 146万円
家族への慰謝料 500万円
合計 2億3293万円

②高次脳機能障害で後遺障害2級、約1億4810万円の賠償金が認められた事例

オートバイと自動車との事故で脳挫傷などの重傷を負い意識不明の重体となったBさん(38歳男性)は、入院中に高次脳機能障害の診断を受けました。3年以上の治療やリハビリテーションを行いましたが、無気力状態が続き、食事・入浴・排便など生活の全てにおいて家族による介護が必要な状態でした。

家族による介護の必要性については裁判で争われましたが、被害者側の主張どおり後遺障害2級(要介護)が認められました。判決による賠償金額は以下のとおりです。(平成29年4月東京地裁判決)

項目 賠償金額
治療費 1162万円
入院付添看護費 183万円
通院付添費 31万円
入通院雑費 53万円
休業損害 1217万円
傷害(入通院)慰謝料 376万円
後遺障害慰謝料 2800万円
逸失利益 4965万円
将来介護費 3105万円
成年後見人報酬 411万円
合計 1億4810万円

③高次脳機能障害で後遺障害7級(併合6級)、約8544万円の賠償金を獲得した事例

オートバイを運転中に車線変更してきた自動車に巻き込まれ、脳挫傷等で3日間意識不明だったCさん(31歳男性)は、事故から4ヶ月後に退院すると物忘れがひどいことを実感したそうです。

アズール法律事務所のサポートにより、高次脳機能障害の検査を受けたことで後遺障害7級(腕と耳にも後遺症があり併合6級)に認定されました。保険会社との交渉の結果、獲得した慰謝料などの賠償金額は以下のとおりです。(平成30年アズール法律事務所)

項目 賠償金額
治療費 265万円
入通院雑費等 24万円
休業損害 554万円
傷害(入通院)慰謝料 290万円
後遺障害慰謝料 1180万円
逸失利益 6231万円
合計 8544万円

まとめ

高次脳機能障害は交通事故による後遺障害の中でも特に深刻なもののひとつです。
これまでアズール法律事務所に、高次脳機能障害をご相談いただいた多くの被害者の方やご家族も、それぞれが本当に大変な思いをされています。

だからこそ将来のことまでを見据えて、しっかりと慰謝料などの賠償金を受け取っていただきたいと思います。
しかし、高次脳機能障害は外見からは判りにくく、適正な賠償金を受け取るためには、専門的な知識がどうしても必要になります。高次脳機能障害に精通した弁護士によるサポートがやはり欠かせないのです。

アズール法律事務所では交通事故と高次脳機能障害のエキスパートとして、被害者とご家族の方々に寄り添い、適正な賠償金を払おうとしない保険会社と戦ってきました。
もし、ご自身やご家族が交通事故による高次脳機能障害で悩んでいるなら、できるだけ早めにご相談ください。きっと解決の糸口が見つかるはずです。