腰椎圧迫骨折とは?後遺障害と慰謝料を解説

腰椎圧迫骨折は、交通事故にあったときによく見られるケガのひとつです。骨折というと「単純に骨が折れただけ」と思うかもしれません。しかし、骨の折れかたにもさまざまなパターンがあり、圧迫骨折は骨が潰れて変形してしまった状態をいいます。その中でも後遺症が残りやすい腰椎の圧迫骨折について、詳しく解説します。

腰椎圧迫骨折の原因は?

圧迫骨折とは、体の外から強い衝撃が加わることで、骨が潰れて変形してしまった状態と言いました。なぜ交通事故で腰椎圧迫骨折が起こりやすいのかというと、原因は腰椎の構造にあります。

人間の体は背骨、医学用語でいう「脊柱(せきちゅう)」によって支えられています。脊柱は、椎骨(ついこつ)と呼ばれる輪のような骨を積み上げた構造で、内部には神経が通っています。骨と骨の間は、椎間板、椎間関節、靭帯(じんたい)で繋がれています。

脊椎は上から順に頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)、仙椎(せんつい)と名付けられていますが、中でも腰椎は体全体を支えるパーツのため、普段から大きな力がかかっています。そこに外部から強い衝撃が加わると、耐えきれずに骨が潰れてしまうのです。

腰椎圧迫骨折は、どんな交通事故で起こる?

交通事故で腰椎圧迫骨折が起こりやすいのは、自転車やバイクに乗っているときに追突され、転倒したケースです。歩行者でも、車に追突されて背中や腰に強い衝撃を受けると、腰椎圧迫骨折になりやすいと言えます。

もちろん車同士の衝突事故でも、腰椎圧迫骨折は起こります。しかし特に起こりやすいのは、上に挙げた2つのケースでしょう。

腰椎は5個の骨が積み重なってできていますが、交通事故による腰椎圧迫骨折では、上から1番目と2番目、医学用語で言う「S1」と「S2」が折れやすいという傾向があります。

腰椎圧迫骨折になると、どんな症状がある?

腰椎は脊椎の一部で、骨の中を神経が通っています。そのため腰椎を骨折すると、多くの場合は強い痛みを感じます。椅子から立ち上がったり、ゆっくり歩いたりといった簡単な動作でも、そのたびに激痛が走ることが少なくありません。

腰椎が潰れてしまうことで、痛み以外の症状が出るケースもあります。背骨が前に傾いたり、反対に背骨が後ろに反ってしまったりといった、姿勢の変化です。

さらに腰椎の中を通っている神経に影響が出て、手足のしびれや筋力の低下を感じることもあります。特に手足のしびれなどは、事故直後には痛みのせいで気づかないといったこともあるので、注意が必要です。

痛みがなくとも、交通事故では腰椎圧迫骨折を疑ったほうがいい?

実は、腰椎圧迫骨折をしていても、ほとんど痛みを感じないことがあります。これは決して珍しいケースではありません。交通事故から数日たって、はじめて「腰が痛い」と気づくこともあります。

交通事故から日数が経ってしまうと、腰椎圧迫骨折と事故の因果関係を証明するのが難しくなります。ですから交通事故に遭ったときには、自覚症状がなくても医師の診察を受けておくことが大切です。

腰椎圧迫骨折で受けておくべき診断は?

腰椎圧迫骨折をしているかどうかは、レントゲンやCT画像を撮影すればすぐに分かります。交通事故にあったら必ず、レントゲンやCT画像を撮影しておきましょう。

ただし腰椎圧迫骨折の痛みがあることは、レントゲンやCT画像を撮っても証明できません。なぜなら、痛みを生み出している神経は、レントゲンやCT画像に写らないからです。

交通事故で腰に痛みを感じた場合は、MRI検査を受けておきましょう。事故によって腰椎が起こったと証明するためには、事故直後のMRI画像を残しておくことが重要です。

腰椎圧迫骨折で受ける治療とは?

腰椎圧迫骨折で行われる主な治療は、保存療法です。つまり、これといった治療はせずに様子を見つつ、体の持っている自然治癒力で治るのを待つという方法です。患部をなるべく動かさないよう、コルセットやキプスで固定することもありますが、それ以上の治療は基本的に行われません。

痛みだけでなく、麻痺などの神経症状がある場合には、手術を行うこともあります。金属のプレートを入れて腰椎を固定する手術がよく知られていますが、近年では骨を固める特殊なセメントを注入して固めてしまう「椎体増幅形成術」も行われるようになりました。

保存療法でも、おおむね3,4か月程度で、折れた骨が自然に固まります。その後、リハビリテーションを行わなければならないため、治療期間は一般的に半年から1年程度と考えておきましょう。

腰椎圧迫骨折で後遺障害の認定は受けられる?

腰椎圧迫骨折では骨が潰れてしまうため、治療を受けても骨が変形したままになってしまうことが少なくありません。また腰椎の中には神経が通っているため、治療後も痛みがしびれが残ることがあります。そういった変形や痛み、しびれがある場合には、交通事故による後遺障害として申請ができます。

腰椎圧迫骨折の後遺障害は、以下の3項目のいずれかに該当します。

  • 6級5号「脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの」
  • 8級2号「脊柱に運動障害を残すもの」
  • 11級7号「脊柱に変形を残すもの」
6級5号 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

「著しい変形」とは、脊柱(「せきちゅう」と読みます)を構成する骨が、2つ以上骨折などによって変形してしまい、後弯(こうわん)や側弯(そくわん)が生じた場合のことです。
脊柱の変形は、体の前側や横側がつぶれることが多いため、つぶれ具合を測定して決定されます。

「著しい運動障害」とは、脊柱が圧迫骨折等をしたことにより、強直(ごうちょく、全く動かないこと)した場合です。

8級2号 脊柱に運動障害を残すもの

「運動障害を残す」ですが、内容にはいろいろなものが含まれます。

  • 背骨がほとんど動かなくなり(強直)、かつそのことがレントゲン等で確認できる場合
  • 背骨に脊柱固定術(金属等の固定具を入れること)を行ない、かつほとんど動かなくなった場合
  • 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められ、かつほとんど動かなくなったもの

固定術を行なった場合も「運動障害」に含まれるので、注意が必要です。

11級7号 脊柱に変形を残すもの

「変形を残す」というのは、背骨の変形がレントゲン等で確認できることを指します。また、脊椎固定手術によって人工関節が埋め込まれた場合などもこれに該当します。

変形した背骨が2つ以上の場合や運動障害がある場合は、上記の6級、8級が取得できるので判断は慎重に行わなければなりません。

どのくらい変形していれば「著しい変形」なのか、どのくらいの痛みや麻痺があれば「運動障害」に認定されるかは、一応の基準はあるもののケースによって異なるといっていいでしょう。そのため、交通事故の経験が豊富な弁護士に相談してみることをお勧めします。

腰椎圧迫骨折の後遺障害申請で気をつけるべきポイント

交通事故の後遺障害申請に当たって絶対に必要になるのは、事故直後に撮影されたレントゲンやCT画像です。事故から日数が経ってしまうと、事故によってケガをしたという因果関係が証明できないため、後遺障害の認定を受けられなくなってしまいます。

腰椎圧迫骨折で痛みやしびれがあることを証明する場合は、MRI画像も必須です。これも事故直後に撮影したものでないと、まず後遺障害の認定は受けられません。ですから交通事故に遭って腰を強打した場合は、すぐに医師の診察を受けて、レントゲンやCT画像、MRI画像を撮影しておきましょう。

さらに後遺障害認定では、治療期間の長さも注視されます。目安としては半年以上、治療のため定期的に通院する必要があると考えておきましょう。

腰椎圧迫骨折で受け取れる慰謝料の相場は?

同じ腰椎圧迫骨折であっても、どの後遺障害等級に認定されるかによって、受け取れる慰謝料の金額は変わってきます。当然のことながら、後遺障害等級が高いほど慰謝料の金額も大きくなります。

ただし、後遺障害等級の慰謝料を計算するための基準は、ひとつではありません。「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。

自賠責保険は必要最低限の補償をするためのものなので、自賠責保険基準で慰謝料を計算すると、驚くほど低い金額になってしまいます。弁護士基準は、過去の交通事故裁判の判例などから弁護士会が分析したもので、慰謝料の基準としては最も高い金額となります。任意保険基準は、自賠責保険基準と弁護士基準の中間と思ってください。

参考までに、腰椎圧迫骨折で認定される後遺障害6級、8級、11級について、自賠責保険基準と弁護士基準の相場を挙げておきます。

後遺障害等級 自賠責保険の基準 弁護士基準

6級

512万円

約1200万円

8級

331万円

約800万円

11級

136万円

約400万円

慰謝料以外に、治療費・休業補償・逸失利益などは受け取れる?

交通事故によるケガの治療費と、治療のため仕事を休んだ分の休業補償は、基本的に受け取れることになっています。治療期間が長引くと、加害者側の保険会社から「打ち切りたい」と言われてしまうこともありますが、それまでの期間の治療費と休業補償は請求できます。

問題となるのは逸失利益です。逸失利益とは、ケガによって将来得られるはずだった給料などが受け取れなくなることへの補償です。交通事故による腰椎圧迫骨折では、一番モメやすいポイントと言っていいでしょう。

腰椎圧迫骨折で背骨に変形が残ってしまっても、痛みがないと逸失利益を認めてもらえないことが多いのです。そのため事故被害者は、腰椎圧迫骨折による痛みがあること、骨折が交通事故によって起こったことを証明しなければなりません。

痛みの立証には、事故の直後に撮ったMRIの画像が必要になります。ですから交通事故に遭った際には、すぐに医師の診察を受けて、レントゲンやCT、MRIの画像を残しておくようにしたいものです。

腰椎圧迫骨折の正当な慰謝料・保険金を受け取るには

まず必要なのは、治療後に残ってしまった症状について、正当な後遺障害等級が認定されることです。

じつは後遺障害等級の申請には、加害者側の保険会社に手続きを任せる「事前認定」と、被害者自身が申請する「被害者請求」の2つの方法があります。

「事前認定」を選んだ場合、保険会社が申請を代行してくれますが、じつはそれほど熱心に準備や手続きをしてくれるわけではありません。できるだけ自社の利益を確保する必要があるからです。認定に必要な画像や資料が十分でないまま申請してしまう場合もあるのです。

「被害者請求」を選んだ場合、被害者側でさまざまな書類や資料をそろえて申請する必要があります。でも実は交通事故に慣れた弁護士に依頼すれば、ほとんどの手続きを代行してくれるのはもちろん、審査時の面接にも同行してくれる場合も多いので安心です。

弁護士に依頼することで、後遺障害の慰謝料が弁護士基準で計算されるという金額的なメリットもあります。顔の傷では認められにくい逸失利益についても、損害賠償のプロである弁護士がしっかりと判断するので、保険金が増額できる可能性が高いといえます。

交通事故で顔にケガをしてしまったときは、なるべく早い時期に弁護士に相談することをぜひ考えてみてください。

実際の腰椎圧迫骨折の賠償額を確認しましょう

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