交通事故による難聴・耳鳴り|耳の後遺障害の慰謝料は?

交通事故で頭に強い衝撃を受けると「難聴」や「耳鳴り」など耳に障害が生じるケースがあります。

聴覚というのは、人にとってコミュニケーションや情報収集のために重要な感覚です。したがって「難聴」や「耳鳴り」などが後遺症となってしまうと、今後の生活にも大きな影響がでる可能性があります。後悔のないように、しっかりとした検査を受け、適正な慰謝料・賠償金を受け取るようにしましょう。

では、「難聴」や「耳鳴り」など、耳に後遺障害が残った場合に請求できる慰謝料・賠償金の相場はどれくらいでしょう? 目安として、実際の示談や裁判で認められた賠償金例をいくつかご紹介します。
※実際の金額は障害の内容や被害者の方の状況により異なります。

耳の後遺障害の慰謝料・賠償金

障害の内容 後遺障害等級 賠償金の合計  
耳鳴り等 併合12級 約780万円 ※1
片耳の聴力喪失 9級 約4000万円 ※2
耳鳴り、神経障害等 併合8級 約3930万円 ※3

※1 被害者は59歳女性 耳鳴り(後遺障害14級)等により併合12級:平成29年4月アズール法律事務所事例より
※2 被害者は29歳男性 片耳の聴力喪失により後遺障害9級:平成19年11月 東京地裁判決
※3 被害者は46歳女性 耳鳴り(後遺障害14級)等により併合8級:平成17年12月 東京地裁判決


実際の交通事故では、耳だけが受傷するということは少なく、脳や神経にもダメージが残ることが多くなります。脳や神経にも後遺障害が認められれば、併合でより高い後遺障害等級として認定されることが可能になります。
しかし、賠償金が高額になると、相手側の保険会社も簡単には支払いに応じようとしません。そうした場合、専門知識を持つ弁護士が交渉することで、どうにか正当な賠償金を引き出せるというのが現実です。

交通事故の被害にあったら、まずは一度、交通事故を専門に扱う弁護士に相談してみてください。

交通事故による耳の後遺障害のご相談は
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詳しくはぜひ続きを読んでください
・耳に関する後遺障害等級がわかります
・請求できる費用や慰謝料がわかります
・保険会社との交渉のしかたがわかります

耳の構造と難聴・耳鳴りの原因

耳の構造は「外耳(がいじ)」「中耳(ちゅうじ)」「内耳(ないじ)」の3つに分けられます。

耳の構造
耳の構造

「外耳」は耳介と外耳道からなる部分で、その奥に鼓膜という膜が張っています。
「中耳」は鼓膜から奥の部分で、骨に囲まれた空間になっています。ここには鼓膜と内耳の間をつなぐ小さな3つの骨(耳小骨)が橋のように架かっています。
「内耳」はさらに奥の部分で、音を感じる感覚細胞が集まった蝸牛(かぎゅう)や平衡覚をつかさどる三半規管などで構成されており、これらの中はリンパ液で満たされています。

難聴の原因と分類

難聴の場合、「外耳・中耳」に障害が生じた場合は「伝音難聴」、「内耳」に障害が生じた場合は「感音難聴」、その2つが合併している場合を「混合性難聴」と分類します。

「伝音難聴」は音が耳の奥まで伝わらなくなっている状態です。耳栓をしたように小さな音が聞こえにくくなり、大きな音ならば聞き取れるのが特徴です。比較的治療がしやすい難聴といえます。

「感音難聴」は音を脳に伝える器官や聴神経に障害が生じている状態です。音を分析する能力に問題が生じているため、音が歪んで聞こえてしまい、大きな音でも聞き取りにくいという特徴があります。多くの場合は聴力を回復させるのが難しい難聴となります。

交通事故での頭部外傷によって生じる難聴は「感音難聴」「混合性難聴」の場合が多く、難聴(聴力障害)の後遺障害となる可能性が高いといえます。

耳鳴りの原因

耳鳴りの発生原因については諸説あり、はっきりとわかっていません。しかし「内耳」から聴神経、あるいは脳に何らかの不具合が生じている場合が多いと考えられています。交通事故での頭部外傷をきっかけに耳鳴りが発生するのも、このためです。

耳鳴りには根本的な治療方法がなく、程度によって後遺障害となる可能性があります。

交通事故で耳の後遺障害となるケース

鼓膜の損傷

自転車やバイクで転倒し、側頭部に大きな圧力がかかると外耳道の気圧が瞬間的に高くなり鼓膜が破れてしまうことがあります。鼓膜は比較的治癒しやすい部分ですが、損傷の大きさや位置によっては難聴・聴力障害の後遺障害となる場合があります。

内耳振盪症(ないじしんとうしょう)

交通事故による頭部打撲で強い振動が内耳全体に加わった時に起こります。めまい、難聴、耳鳴りなどの症状が生じます。時間が立てば治まることが多いのですが、難聴や耳鳴りの後遺障害となる場合もあります。

外リンパ漏

交通事故による頭部への衝撃により、中耳と内耳の境界の膜が破れて、内耳内のリンパ液が漏れてしまうことをいいます。難聴などの後遺障害となる場合があります。

頭蓋骨(側頭骨)骨折

人間の頭蓋骨の横の部分を「側頭骨」といいます。側頭骨内には内耳、中耳、外耳と聴覚を伝える聴神経、平衡感覚を司る前庭神経などが格納されています。側頭骨を骨折することで、聴神経が損傷し、難聴や耳鳴りなどの後遺障害となる場合があります。

頭蓋骨と側頭骨

耳の障害の後遺障害等級

耳の後遺障害は「聴力障害(難聴)」「耳鳴り」「耳漏(じろう)」「耳殻(じかく)の欠損」の4つに分類されます。

聴力障害(難聴)

聴力障害(難聴)の後遺障害等級は両耳の場合と片耳の場合の基準がそれぞれ定められています。医療機関での「純音聴力検査」と「明瞭度検査」の結果により後遺障害等級が決まります。

両耳の聴力障害

4級3号 両耳の聴力をまったく失ったもの
後遺障害4級3号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 両耳の平均純音聴力レベルが90dB以上
  • 両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上で、最高明瞭度が30%以下
6級3号 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
後遺障害6級3号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上
  • 両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上80dB未満で、最高明瞭度が30%以下
6級4号 片耳の聴力をまったく失い、他耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害6級4号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 片耳の平均純音聴力レベルが90dB以上、他耳の平均純音聴力レベルが70dB以上
7級2号 両耳の聴力が40㎝以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害7級2号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 両耳の平均純音聴力レベルが70dB以上
  • 両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上、最高明瞭度が50%以下
7級3号 片耳の聴力をまったく失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害7級3号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 片耳の平均純音聴力レベルが90dB以上、他耳の平均純音聴力レベルが60dB以上
9級7号 両耳の聴力が1m以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害9級7号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 両耳の平均純音聴力レベルが60dB以上
  • 両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上で、最高明瞭度が70%以下
9級8号 片耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
後遺障害9級8号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 片耳の平均純音聴力レベルが80dB以上、他耳の平均純音聴力レベルが50dB以上
10級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では、普通の話声を解することが困難である程度になったもの
後遺障害10級5号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上
  • 両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上で、最高明瞭度が70%以下
11級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
後遺障害11級5号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上


各後遺障害等級の具体的な認定基準をまとめると下の表になります。

両耳の平均純音聴力による基準
    右耳
    90dB以上 80~89dB  70~79dB  60~69dB  50~59dB  40~49dB
左耳

90dB以上

4級 6級 6級 7級 9級

80〜89dB

6級 6級 7級 9級 9級

70〜79dB

6級 7級 7級 9級 10級 11級

60〜69dB

7級 9級 9級 9級 10級 11級

50〜59dB

9級 9級 10級 10級 10級 11級

40〜49dB

11級 11級 11級 11級
両耳の平均純音聴力と最高明瞭度による基準
    両耳聴力
    80〜89dB 70〜79dB 60〜69dB 50〜59dB 40〜49dB
明瞭度 30%以下 4級 6級 6級 6級 10級
50%以下 7級 7級 10級
70%以下 9級 10級

片耳の聴力障害

9級9号 1耳の聴力をまったく失ったもの
後遺障害9級9号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 片耳の平均純音聴力レベルが90dB以上
10級6号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
後遺障害10級6号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 片耳の平均純音聴力レベルが80dB以上90dB未満
11級6号 1耳の聴力が40㎝以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害11級6号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 片耳の平均純音聴力レベルが70dB以上80dB未満
  • 片耳の平均純音聴力レベルが50dB以上で、最高明瞭度が50%以下
14級3号 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
14級3号の具体的な認定条件は以下のとおりです。
  • 片耳の平均純音聴力レベルが40dB以上70dB未満


各後遺障害等級の具体的な認定基準をまとめると下の表になります。

片耳の平均純音聴力による基準
片耳の聴力レベル
90dB以上 80〜89dB 70〜79dB 40〜69dB
9級 10級 11級 6級
片耳の純音聴力レベルが50dB以上で、最高明瞭度が50%以下
11級

聴力障害の検査方法

後遺障害等級認定のための聴力検査は日本聴力医学会が制定した「聴力検査法(1990)」により行います。
具体的には防音室に入って、オージオメーターという機器を使い、ヘッドホンからの音が聞き取れるかどうかを検査します。主に「純音聴力検査」と「明瞭度検査」の2つの検査を行います。

オージオメーターのイラスト
オージオメーター
純音聴力検査

ヘッドホンからの「ピー」「プー」という単純な音が聞き取れるかどうかを調べる検査です。
125Hz(ヘルツ)から8000Hzまでの7種類の高さの音を使い、それぞれ音の大きさを変えて、どこまで小さな音が聞き取れるかを調べます。音の大きさはdB(デシベル)という数値で表され、この数値が小さいほど小さな音が聞き取れるということになります。
耳にヘッドホンをあて、空気を通して聞こえる音を検査する「気導聴力検査」のほかに、耳の後ろに機器をあて、骨を伝わって聞こえる音を検査する「骨導聴力検査」も行われます。

「純音聴力検査」は7日以上の間隔をあけて3回実施し、2回めと3回めの平均値で後遺障害認定が行われます。2回めと3回めに10dB以上の差がある場合には再検査を行い、2回め以降の検査の中で差がもっとも小さい2つの聴力レベルの平均が採用されます。

明瞭度検査

ヘッドホンからの「ア」「イ」「1」「2」などの音声が聞き取れるかどうかを調べる検査です。
聞こえた音声を復唱するか紙に書いて、その正答率を%で表します。音の大きさを変えて何度か検査して、最も正答率が高かった音の大きさの検査結果が最高明瞭度となります。
問題がなければ「明瞭度検査」については1回の検査でも良いとされています。

耳鳴り

12級相当 著しい耳鳴りが常時あると評価できるもの
14級相当 耳鳴りのあることが医学的・合理的に説明できるもの

医学的な検査により耳鳴りが常時あると評価できる場合は後遺障害12級相当として取り扱われます。
検査で明確な結果が出なくとも、交通事故で受けた外傷等の経過から、耳鳴りの存在を医学的に説明できると判断された場合は後遺障害14級相当として取り扱われます。

耳鳴りの検査方法

耳鳴りの検査は専門医により行われ、通常は以下の方法で行われます。

ピッチ・マッチ検査

低音から高音まで周波数の違う音を聞いて、耳鳴りと近い音の周波数を特定する検査です。

ラウドネスバランス検査

音の感覚的な大きさ(ラウドネス)を物理的な音圧、音の強さ(デシベル/dB)として評価する検査です。検査音には「ピッチマッチ検査」で得られた周波数をもちいる。

遮蔽(しゃへい)検査

ピッチマッチ検査で得られた周波数のバンドノイズを用いて耳鳴りを遮蔽し、最小の耳鳴り遮蔽レベルを求めて、耳鳴りの大きさを評価する検査です。

耳漏(じろう)

12級相当 常時、耳漏があるもの
14級相当 常時ではないが、耳漏があるもの

交通事故によるケガの後遺症で、常時耳漏があるものについては後遺障害12級相当、その他のものについては後遺障害14級相当として取り扱われます。

耳殻(じかく)の欠損

12級4号 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの

耳殻(じかく)というのは、耳の外に張り出て飛び出している部分のことです。耳介(じかい)とも呼ばれます。
交通事故によるケガで片方の耳殻の大部分(半分以上)を失った場合は、後遺障害12級4号に該当します。また耳殻の欠損は外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)として7級〜14級に該当する可能性もあります。

耳の障害で請求できる費用や慰謝料

交通事故によるケガで難聴や耳鳴りなどの後遺障害がある場合、相手側の保険会社に治療費や慰謝料など、さまざまな賠償金を請求することができます。

治療費

診察料、入院費、手術代など、病院での治療にかかった実費が支払われます。
通常は保険会社から直接、病院に払い込まれます。

入院雑費

入院中の消耗品などを購入する費用として請求できます。
金額は入院1日あたり一律で計算します。弁護士の基準では日額1,500円です。

付添看護費

家族の付き添いが必要な場合には、付添看護費が請求できます。ただし、被害者がまだ子供の場合などの、医師が必要と認めたものに限られます。

通院交通費

通院のための交通費については実費が請求できます。
タクシーの利用や付き添いの交通費については、医師が必要と認めた場合など、必然性がある場合のみ認められます。

休業損害

交通事故のケガが原因で、仕事を休んだ日数分の金額が支払われます。

傷害(入通院)慰謝料

「ケガをしたことによる精神的苦痛」に対して支払われる慰謝料です。
金額は入通院の期間に応じて決められます。弁護士の基準では、入院1ヶ月につき約50万円・通院1ヶ月につき約25万円となります(実際の金額は赤い本の入通院慰謝料表(別表1)によります)。

後遺障害慰謝料

難聴や耳鳴りなどの「後遺障害が残ってしまった精神的苦痛」に対して支払われる慰謝料です。認定された後遺障害等級に応じて金額が決められます。

耳に関する後遺障害では症状によって4~14級に認定される可能性があります。それぞれの後遺障害慰謝料は以下のとおりです。

後遺障害等級 自賠責基準 弁護士基準
1級 1150万円 2800万円
2級 998万円 2370万円
3級 861万円 1990万円
4級 737万円 1670万円
5級 618万円 1400万円
6級 512万円 1180万円
7級 419万円 1000万円
8級 331万円 830万円
9級 249万円 690万円
10級 190万円 550万円
11級 136万円 420万円
12級 94万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

上の表からも分かるとおり、弁護士が入って交渉した場合(弁護士基準)と、保険会社が独自に計算した場合とでは、金額が大きく変わります。

後遺障害逸失利益

難聴や耳鳴りといった後遺障害によって、本来できたはずの労働ができなくなります。したがって、本来は得られるはずの今後の収入も減ってしまうことになります。その減ってしまう将来の収入についての賠償が「逸失利益(後遺障害逸失利益)」です。

後遺障害等級ごとに労働能力喪失率の目安が決められています。

後遺障害等級 労働能力喪失率 後遺障害等級 労働能力喪失率
1級 100% 8級 45%
2級 100% 9級 35%
3級 100% 10級 27%
4級 92% 11級 20%
5級 79% 12級 14%
6級 67% 13級 9%
7級 56% 14級 5%

「逸失利益」の金額は事故当時の被害者の方の収入額と年齢によって計算します。後遺障害等級が高い場合は労働能力喪失率も大きくなるので、逸失利益の金額はかなり大きなものになります。

耳の障害の慰謝料・賠償金はどう決まる?

慰謝料・賠償金を受け取るまでの流れ

交通事故の被害で足を切断した場合の示談交渉の流れを簡単にまとめたのが下の図になります。

事故発生から示談までの流れ

「事故発生」から半年~1年半ほどの「治療」を行ったうえで「これ以上の回復は見込めない」と医師が判断することを「症状固定」といいます。失明に至るような重症の場合にはさらに治療に時間をかけてから「症状固定」とするケースが多いようです。

その後、担当の医師が発行した後遺障害診断書とそれまでの治療経過、弁護士の意見書などを揃えて、後遺障害等級認定の申請を行います。申請から結果が出るまで、おおよそ3~6ヶ月程度かかります。

後遺障害等級が認定されたら、最終的な慰謝料などの金額について保険会社と「示談交渉」を行います。納得できる金額の提示があれば示談成立となりますが、どうしても納得できない場合は裁判をすることになります。

こうして賠償金額が決定して、ようやくお金が被害者の方の手元に届くことになります。

慰謝料・賠償金の3つの基準

交通事故の慰謝料などの計算に使う「基準」には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。

保険会社が独自に算定した賠償金と、弁護士が入って交渉する場合の賠償金に大きな開きがあるのは、この「基準」がそもそも異なるためです。

自賠責保険基準

自賠責保険は自動車を所有とき必ず入る必要のある強制加入保険です。被害者を保護するための最低限の保険という目的のため、「自賠責保険基準」の慰謝料等は3つの基準の中で最も低い金額になります。

任意保険基準

任意保険というのはいわゆる自動車保険のことです。自賠責保険で足りない賠償金を上乗せするためのもので、約7割のドライバーが加入していると言われます。「任意保険基準」の慰謝料等は3つの基準の中で2番目に低い金額ですが、自賠責保険の基準とほぼ同額ということもあるようです。

弁護士基準

「弁護士基準」は弁護士が示談交渉をする際に使う基準です。過去の裁判の判決をもとに、被害者の方が本来受け取るべき慰謝料の目安として作られており「裁判基準」とも呼ばれています。3つの基準の中でもっとも高額になります。

もちろん「弁護士基準」で慰謝料などの賠償金を受け取ることが、被害者の方やご家族の今後のためにも最も良いと思います。

保険会社との交渉が必要

「自分は被害者なのだから、黙っていても相手の保険会社が十分な賠償金を支払うはず…」と、思ってはいないでしょうか?

もちろん加害者側の保険会社は賠償金を支払いますが、耳の後遺障害に至るような交通事故では、その金額が大きいだけに、保険会社もなかなか100%の支払いには応じようとしません。それどころか「弁護士基準」の半分以下の金額が提示されることも少なくないのです。

充分な賠償金を得るには、しっかりとした交渉が必要になります。

具体的には「慰謝料」を弁護士基準で計算することに加えて、難聴や耳鳴りなどの障害が将来の収入にどれほど影響するのかを論理的に説明して「逸失利益」をしっかり獲得することが非常に重要です。
しかしこうした交渉を被害者の方が直接行うのは、なかなか難しいというのが現実ではないでしょうか。やはり専門知識を持った弁護士に任せていただくのが、もっとも良い結果につながると言えます。

弁護士に依頼するメリット

交通事故ので後遺症が残るようなケガをするという事態は、ご本人やご家族にとって大きなショックだと思います。長期の治療が必要になりますし、仕事や生活にも大きな影響が出ます。経済的な不安も大きいのではないでしょうか。
そこで頼っていただきたいのが、交通事故を専門的に扱っている弁護士です。ご相談いただくことで、さまざまなメリットがあります。

金額面でのメリット

弁護士に依頼することで、保険会社から受け取る慰謝料などの賠償金が大幅に増える可能性があります。保険会社が提示する金額が倍以上になることもめずらしくありません。
弁護士費用を差し引いたとしても、金銭面でのメリットは、それを大きく上回ります。

手続き面でのメリット

ケガの治療やリハビリをしなければならない一方で、事故の相手側や保険会社と交渉もしなければならないのは、被害者の方にとって大きなストレスになります。
弁護士に依頼することで、こうした手続きはすべて任せることができます。専門知識を持ったスタッフが被害者の方のことを第一に考えて対応するので安心です。

精神面でのメリット

交通事故でケガをすることや、ましてや後遺症を抱えるという事態は、ほとんどの方にとって初めてことで、精神的な不安も大きいと思います。
治療やリハビリについては医師や理学療法士の方に相談できます。しかし、これからの生活や仕事がどうなるか、どんなお金が必要になって、どんなお金が入ってくるのか…こうした相談に乗れるのは交通事故の経験が豊富な弁護士なのです。将来の見通しが立つことで、精神的な負担はきっと軽くなります。

耳の後遺障害の慰謝料・賠償金の事例

実際に弁護士が入って示談交渉や裁判を行い、正当な賠償金を獲得した事例を紹介します。
賠償金の内容や金額はそれぞれの被害者の方の状況により異なりますが、どんな項目でどれくらいの金額が受け取れるのかなど参考になると思います。

①耳鳴りで後遺障害12級、約776万円の賠償金を獲得した事例

運転していた自動車が停車中に、後ろから来た自動車に追突されたAさん(59歳女性)は事故の衝撃で首を痛め、いわゆるむち打ち症となってしまいました。首、肩、背中の痛みに加えて、頭痛と耳鳴りに悩まされながら半年ほど治療を続けましたが、完治することは叶いませんでした。しかし相手側の保険会社は治療の打ち切りを打診してきたのです。

将来に不安を感じたAさんから相談をいただいたアズール法律事務所は、後遺障害等級をとるために被害者請求の手続きを行いました。首や肩の痛みでは等級をとれなかったもの、腰の痛みが14級、耳鳴りが12級の後遺障害と認められ、あわせて併合12級に認定されました。
この結果をもとに保険会社と交渉した結果、最終的に約776万円の賠償金を獲得することができました。
(平成29年4月 アズール法律事務所事例)

項目 賠償金額
治療費 約88万円
通院交通費 約4千円
通院慰謝料 約95万円
後遺障害慰謝料 約290万円
後遺障害逸失利益 約303万円
合計 約776万4千円

②片耳の聴力喪失で後遺障害9級、約4000万円の賠償金が認められた事例

自転車で交差点を横断中にタクシーに衝突されたBさん(29歳男性)は、転倒して道路に肩と頭を打ちつけました。事故直後に病院で受けた診断は「両肩打撲、頚椎捻挫、頭部打撲、脳震盪」でした。
Bさんは入院することなく自宅に戻りましたが、翌日に電話をとった際に右耳の異常に気が付きます。耳鼻科を受診したところ「感音性難聴」と診断されました。残念ながら治療は難しく、そのまま2ヶ月後に症状固定となりました。後遺障害等級については「1耳の聴力を全く失ったもの」として9級9号が認定されました。

相手の保険会社は、難聴が事故によるものではない可能性を主張してきました。しかし、被害者側の弁護士が集めた証拠により、その主張は却下されました。結果的に700万円の後遺障害慰謝料と、67歳までの37年間分の逸失利益の約3155万円が認められ、賠償金の合計は約4000万円となりました。
(平成19年11月 東京地裁判決)

項目 賠償金額
治療費 約17万円
休業損害 約66万円
通院慰謝料 約60万円
後遺障害慰謝料 約700万円
後遺障害逸失利益 約3155万円
合計 約4000万円

③頭部外傷による耳鳴り(後遺障害12級)などで併合8級、約3935万円の賠償金が認められた事例

自転車で横断歩道を渡っていたCさん(46歳女性)は、交差点を右折してきたトラックと衝突して転倒、頭を打ち意識を失いました。搬送された病院での診断は「左側頭骨骨折、頭蓋底骨折、急性硬膜外血腫、気脳症、左顔面神経麻痺、外傷性両感音性難聴等」というものでした。事故のあと数日で意識が戻ったCさんでしたが、ケガの治療と後遺症により、その生活は一変してしまいました。

事故後約1年半で症状固定となったCさんは、外傷性神経症で9級、顔の傷あとで12級、左顔面神経麻痺で10級、左まぶたの兎眼で12級、聴力障害(耳鳴り)で14級の後遺障害に該当すると判断されました。これらの後遺障害等級をあわせて併合8級に認定されました。
このことによって1300万円の後遺障害慰謝料のほか、労働能力喪失率35%で計算した逸失利益約1580万円が認められ、賠償金の総額は約3935万円となりました。
(平成17年12月 東京地裁判決)

項目 賠償金額
治療費 約165万円
付添看護費 約89万円
通院交通費 約81万円
入院雑費等 約11万円
休業損害 約507万円
障害(入通院)慰謝料 約200万円
後遺障害慰謝料 約1300万円
後遺障害逸失利益 約1580万円
合計 約3935万円

まとめ

交通事故で頭を強く打った場合は、頭部や首のケガだけでなく、耳の機能にも障害が出ることがあります。耳の奥の「内耳」と呼ばれる部分や、脳に音の信号を伝える神経が傷ついてしまうと、完治するのは難しく、多くの場合は後遺症が残ってしまいます。
「難聴」や「耳鳴り」の後遺症は今後の生活や仕事への影響も大きいので、相手側の保険会社と交渉して、しっかりと慰謝料などの賠償金を受け取ることが大切になります。

交通事故の後で「耳が聞こえにくくなった」「耳鳴りが辛い」と感じたらまずは耳鼻科の医師に相談を。もし後遺症の可能性があるようであれば、交通事故を専門に扱う弁護士にご相談ください。