
こんにちは、弁護士の中原です。今回は、交通事故で背骨を骨折し、後遺障害が残ってしまった方の事例をご紹介しようと思います。

背骨は医学上は脊柱(せきちゅう)といいます。右の図のように、上から頚椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)と並んでいます。
今回のご依頼人は胸椎を骨折し、後遺障害等級の申請では8級が認められ最終的に2700万円という賠償金を獲得しました。
背骨を圧迫骨折した交通事故の状況
岩手県在住のTさん(52歳、男性)は、交差点で横断歩道を青信号で歩行中、信号を無視して走ってきたオートバイにはねられ、数メートルはね飛ばされました。背中に猛烈な痛みが走り、気を失うほどだったといいます。
Tさんはすぐに救急搬送され、搬送先の病院で、
- 第11胸椎圧迫骨折
- 頚椎捻挫
と診断されました。
弁護士が事故直後から全面的にサポート
Tさんにご依頼いただいたのは、事故にあった数日後のことでした。交通事故にあったが初めてのことでどうしていいかわからない、そこでアズール法律事務所にご依頼いただくことになりました。弁護士は、Tさんから詳しくお話をうかがうことから始めました。
弁護士は、Tさんの痛みの訴えが非常に強いと感じました。アズールにご依頼いただいた被害者の方で圧迫骨折をした方は、皆様一様に強い痛みを訴えます。しかし、Tさんは多少オーバーに言えば猛烈といっていいほどの痛がりようでした。
圧迫による変形の度合いが非常に強いのかもしれない、そう思った弁護士は、主治医と連絡を取り早急にMRIを撮影するよう依頼しました。そして事故直後に撮影されたレントゲン画像と、新しく撮影したMRI画像を精査したところ、Tさんの骨折は変形の度合いが非常に強く、さらにTさんの胸椎には
- 後弯(こうわん)
が生じていることが分かったのです。
![]()
CTとは?MRIとは?交通事故の後遺症認定に必要な画像について
圧迫骨折による後弯(こうわん)とは

背骨は、もともと首(頚椎)、胸(胸椎)、腰(腰椎)の部分でそれぞれが前後に弯曲しています。頚椎と腰椎が前弯(ぜんわん)といって前に出ており、胸椎が後弯(こうわん)といって後ろに出ています。
後弯とは、この胸椎が後ろに異常に曲がってしまうことをいいます。
どれくらい後弯しているかで後遺症の等級が変わってくるため、後弯が生じている場合には、どれくらい圧壊しているか正しく診断してもらわなければなりません。
Tさんには、辛さは変わらないものの、痛みの原因がはっきりしたことで少し安心していただきました。
圧迫骨折による後弯で8級相当を獲得
Tさんは強い痛みと向き合い通院を続けましたが、8ヵ月ほど経過したころ症状固定となりました。
そこで弁護士は、主治医の先生に後遺障害診断書を作成していただき、後遺障害等級の申請に移ることにしました。
弁護士は、胸椎に後弯が生じていること、そして胸椎に強い痛みが残ったことを記載してもらうよう、主治医の先生にお願いしました。
圧迫骨折という症状は、痛みを含めて評価してもらうことが非常に重要です。後遺障害の等級は、認定票という紙で被害者に通知がくるのですが、
- 痛みを含めて後遺症に該当する
という内容が記載されていることが望ましいのです。痛みがあることを根拠に、交渉を有利に進めることができるからです。
正しい内容を記入していただいた後遺障害診断書と画像を提出して後遺症申請を行った結果、Tさんには痛みを含めて8級相当が認定されました。通常、圧迫骨折があると11級の認定がなされます。しかし、後弯について正しく記載されていたおかげで、無事に8級となりました。
![]()
後遺障害とは?後遺症とは?まずは基本を知りましょう
胸椎圧迫骨折(8級相当)でアズールが獲得した賠償額
等級が決まったことで、加害者側の保険会社との交渉が始まりました。8級という等級は、後遺症としてはかなり重い症状です。保険会社の出し渋りに屈するわけにはいきません。いつものように保険会社の強い抵抗にあいましたが、Tさんに強い痛みが残っていること、背中が曲がってしまい仕事にも大きく影響していることを粘り強く訴え、最終的に以下の金額で示談することになりました。
項目 | アズールによる獲得額 |
---|---|
治療費 | 120万円 |
交通費 | 12万円 |
その他費用 | 1万円 |
休業損害 | 160万円 |
入通院慰謝料 | 132万円 |
逸失利益 | 1480万円 |
後遺障害慰謝料 | 830万円 |
合計 | 2735万円 |
※過失割合は考慮していません。
正しい後遺障害等級と賠償金を獲得するためには専門家へ依頼を
圧迫骨折という症状は、保険会社が最も逸失利益を支払おうとしない等級の一つです。「骨が変形しても、将来に大した影響はありませんよね?」などと平気な顔をして言ってきます。
しかし、そんなことはありません。被害者は、将来もずっと強い痛みを抱えながら生きていかなければならないのです。また、後弯が生じると背中が大きく曲がってしまい日常生活にも大きな支障を来してしまいます。その苦しみに見合った保険金でなければなりません。アズールでは圧迫骨折を扱った多くの経験をもとに、全力を尽くします。
また、専門知識を持った弁護士が内容を確認することで正しい等級を獲得できる可能性が高まります。
アズールでは、電話相談を無料でお受けしています。ご不安や疑問を感じたら、ぜひ交通事故専門の弁護士にご相談ください。きっと新しい未来が開けてくることと思います。
![]()
人身事故を弁護士に相談するメリットは?いつ相談する?