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顔面に大きな傷(外貌醜状)が残った事故状況
東京都在住のNさん(24歳、男性)は、自転車で走っていたところ左折してきたトラックに巻き込まれました。Nさんは顔面を地面にこすってしまい、かなりの出血でした。Nさんは直ちに救急車で搬送され医師の治療を受けられました。 Nさんは下記のとおり診断されました。
- 顔面挫創
- 右頬骨骨折
- 右眼瞼挫創
- 口唇挫創
- 全額部挫創
- 右眉間部挫創
保険会社との交渉と将来への不安
Nさんは事故直後は傷による顔の腫れなどがひどく、約1か月半ほど入院しました。 退院後も痛みや傷跡のひどさなどから長期間の治療が必要でした。Nさんは将来の治療などについて保険会社と話を続けていましたが、保険会社との様々なやり取りに疲れ果ててしまい、当事務所にご相談いただきました。
アズール法律事務所にご依頼いただいた後、Nさんはすぐに症状固定となりました。外貌醜状(外貌醜状)は症状固定をいつ行うかが特に重要です。
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交通事故の症状固定、メリットとデメリットは?弁護士が徹底解説
症状固定後、Nさんの後遺障害診断書には下記のとおり症状が記載されました。
- 右頬部・下顎部・口唇部の瘢痕・痛み・痒み
- 右目部に6センチメートル
- 右ほほ部に8センチメートル
- 下顎部に8センチメートル
- 鼻から口唇部に4センチメートル
外貌醜状の問題点:瘢痕(はんこん)か、線状痕(せんじょうこん)か
Nさんの後遺障害は重大なものでした。Nさんは実際に自賠責事務所にも赴き、後遺障害の認定を受けました。結果的にNさんは 「外貌に著しい醜状を残すもの」 として、顔の傷の一番高い等級である7級12号に認定されました。
この「外貌に著しい醜状を残すもの」とは、顔面部にあっては「鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没」が残っていると認定されます。Nさんの傷は瘢痕といえるか難しいところでしたが、アズールの意見書等により7級に認めてもらうことができました。
アズールによる交渉経過と結果
等級認定後、弁護士による交渉が始まりました。一番問題となったのは、逸失利益です。逸失利益とは、将来の収入が減った分を賠償するものです。通常、外貌醜状では逸失利益は全く支払われません。
しかしNさんは職業柄接客が必須だったため、Nさんの傷は収入にも直結しました。アズールでは理論的にも実際上も逸失利益がないというのは不当であることを主張しましたが保険会社はこれに応じませんでした。やむを得ず訴訟手続きとなりました。訴訟では、結果的に裁判官もNさんの状況に理解を示してくれ、多額の逸失利益が認められることになりました。
後遺障害7級12号(外貌醜状)の慰謝料・保険金額
項目 | 慰謝料・保険金額 |
---|---|
治療費 | 432万5687円 |
入院雑費 | 6万3000円 |
通院交通費 | 1万6300円 |
文書料 | 5400円 |
休業補償 | 315万2866円 |
入通院慰謝料 | 200万8960円 |
逸失利益 | 2723万3353円 |
後遺障害慰謝料 | 1000万円 |
合計 | 4680万5566円 |
交通事故で弁護士に依頼するメリットとは
今回は交渉段階では保険会社はまともに逸失利益を支払おうとしませんでした。結局は裁判でかなり高額の逸失利益が認められることになりましたが、もし弁護士が入ってなければ2700万円にも上る逸失利益が支払われなかったかもしれません。
Nさんも正当な保険金を獲得できたことでご納得いただけました。今後の再手術や生活についても安心できることを喜んでいただけたようです。
後遺障害等級を取るのも大変ですが、等級が取れたその先にさらに具体的な交渉や裁判が待っています。もし交通事故の後遺症や保険会社との交渉でお困りの場合は、ご相談ください。必ず何かお役に立てると思います。