
今回は、交通事故で人工関節を入れることになってしまった方の事例をご紹介します。
人工関節とは、自分の骨が治療でもくっつかなかったりうまく再生できなかった場合に入れる、人工的に製造された関節のことをいいます。
今回の被害者の方は、後遺障害の申請では10級11号という等級が認められ、最終的に約2100万円という賠償金を獲得しました。
目次
人工関節を入れることになった交通事故の状況
被害者Aさん(50歳男性)はオートバイで青信号の交差点を直進していました。ところが対向車線から右折してきた車がAさんに衝突したため、はね飛ばされたAさんはガードレールに全身を打ちつけられてしまいました。
病院に搬送されたAさんは、
・右大腿骨頚部骨折
・右大腿打撲傷
・胸部打撲傷

と診断されました。
このうち、一番上の「大腿骨(だいたいこつ)」とは、太ももの骨のことです。「頚部(けいぶ)」はその先っぽという意味です。
Aさんは大腿骨の体に近い部分、いわゆる股関節(こかんせつ)の部分を骨折しました。ちなみに大腿骨の股に近いところの骨を「大腿骨頭(だいたいこっとう)」といいます。骨の先っぽが頭のように丸くなっていることからこう呼ばれます。
人工関節を入れるまで
Aさんは事故から約2ヶ月入院しましたが、骨の状態が悪く最終的には大腿骨の頚部を人工の骨頭に入れかえる手術をせざるを得ませんでした。
手術は無事に終了しましたが、健康なときに比べて股関節の動きが悪くなってしまい、会社員であったAさんは会社を休んでリハビリを続けました。
保険会社との交渉で悩み、弁護士にご依頼
加害者の保険会社は、当初はAさんに休業損害を払っていました。ところが事故から半年ほど経つと、休業損害を請求しても「少々検討にお時間をいただきます」と言って、なかなか振り込もうとしなくなったといいます。
アズール法律事務所がAさんにご依頼をいただいたのは、事故から8ヶ月ほど経った頃でした。このままではやがて休業損害も治療費も打ち切られてしまうのではないかと不安になり、ご相談いただきました。
Aさんのご依頼を受け、アズール法律事務所では保険会社と交渉を始めました。そしてAさんの現状を粘り強く訴え、休業損害の支払いを再開させました。
人工関節で10級11号を獲得
事故から1年が経った頃、Aさんの治療は終了し後遺障害の申請をすることになりました。
ちなみに後遺障害等級認定の申請には2種類の方法があります。
- 事前認定…加害者側の保険会社が申請
- 被害者請求…被害者自身で申請
事前認定は保険会社に任せておけばよいので、何の手間もかかりません。しかし、相手方が申請するわけですから、いい加減な申請になってしまいます。
その一方で、被害者請求は提出前に資料の内容をチェックすることが可能です。より高い等級を得るために、アズールでは医師に訂正、書き直し、再検査を求めることもあります。弁護士によって十分な準備をしてから等級認定を申請するので、高い等級認定を得られる可能性が高まるのです。
アズールで的確に被害者請求を行った結果、Aさんには無事に10級11号が認められることになりました。
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
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人工関節(10級11号)で賠償金約2100万円を獲得
無事に等級が認定となったことで、示談交渉が始まりました。保険会社は例によって正当な賠償に同意せず、一時は裁判も見据えた交渉をしていたのですが、最終的にはAさんも納得のいく金額が得られました。
Aさんが受け取ることができた賠償額は次のとおりです。
項目 | 賠償額 |
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治療費 | 120万円 |
入院雑費 | 9万3000円 |
交通費 | 8万2000円 |
その他費用 | 5万円 |
休業損害 | 300万円 |
入通院慰謝料 | 200万円 |
逸失利益 | 900万円 |
後遺障害慰謝料 | 550万円 |
合計 | 2092万5000円 |
※過失割合については考慮していません。
人工関節で正しい賠償額を獲得するには専門家へ相談を
交通事故の損害賠償をめぐる問題は、専門家である弁護士に相談し、依頼されることをお勧めします。弁護士を依頼されることには、次のメリットがあるからです。
- より高い後遺障害等級認定、高額な弁護士基準による賠償額の増額が期待できます。
- 被害者本人は治療に専念していただけます。
- 各種医療機関とのネットワークを生かして、最適な医療機関をご紹介できます。
- 自費治療における健康保険、労災保険の利用、後遺障害が残った方に対する福祉サービスなどの手続きをサポートできます。
交通事故で不安がある被害者の方は、ぜひ一度アズール法律事務所にご相談ください。