
今回は、交通事故で太ももの骨を骨折し、最終的に人工骨頭(じんこうこっとう)に入れ替えた方のお話をさせていただこうと思います。
太ももの骨の先端部を骨折してしまった場合、折れた後きちんとくっつかなかったり、折れた部分が死んでしまうことがあります。特に高齢の方などは骨がもろくなっていて、手術をしても骨がダメになり歩けなくなってしまうこともあります。
そこで、ダメになった骨を人工のパーツで置き換えるという手術が行われることがあります。この手術を人工骨頭置換術(ちかんじゅつ)といいます。
今回の被害者の方は、人工骨頭置換術をされた後で弁護士にご依頼されました。そして後遺症の申請では10級11号という等級が認められ、最終的に約1800万円という賠償金を獲得しました。
目次
人工骨頭置換術を受けることになった交通事故の状況
山梨県在住のYさん(67歳、女性)は、自転車で青信号の横断歩道を走行していたところ、右折してきた脇見運転の乗用車にはねられました。Yさんは強い衝撃で自転車ごとはね飛ばされ、その際に下半身を強打しました。
Yさんはただちに救急搬送され、搬送先の病院で、
- 左大腿骨頚部骨折
- 全身打撲
と診断されました。Yさんには、すぐに骨折した箇所にプレートを入れての接合手術が行われました。

図をご覧ください。大腿骨頚部を骨折すると、折れた大腿骨頭部分がうまくつながらず、壊死(えし)してしまうことがあります。そうなってしまうと、人工骨頭というパーツを挿入して置き換えるしかなくなってしまうのです。
Yさんは約1年に渡ってリハビリを続けましたが骨の再生がうまくいかず、最終的にYさんの骨の先端部分は壊死(えし)してしまいました。Yさんは医師の勧めに従い、人工骨頭置換術(ちかんじゅつ)という手術をうけることになりました。
人工骨頭に置き換えた場合、認定される後遺障害等級は10級11号
アズールがYさんからご依頼いただいたのは、Yさんが人工骨頭置換手術を終えたばかりのころでした。Yさんは人生で初めてあったという今回の事故で、長引く治療、保険会社の冷たい対応など、様々な不安を抱えておられました。また、ご自身に残る後遺症が何級になるのか、賠償額はどうなるのか、についても不安をお持ちでした。
弁護士は、Yさんの不安を解消するため、後遺障害等級や今後の流れ、賠償額の目安について詳しい説明を行いました。 Yさんに認定されると思われた10級11号というのは下記のよう定義されています。
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
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これだけでは分かりづらいのですが、人工骨頭を挿入した場合は、「著しい障害」に該当することがあります。
後遺症の内容と今後の流れについて詳しく説明させていただいたことで、Yさんにはとても安心していただき、リハビリに励んでいただくことができました。
被害者請求で無事10級11号が認定に
Yさんは人工骨頭挿入後もリハビリを懸命に行いました。治療期間が2年を経過したころ症状固定となったため、弁護士はすみやかに等級の申請を行いました。事故の被害者が自分で等級の申請を行うことを被害者請求と呼びます。
基本的に後遺障害等級の申請は相手方保険会社が行うことが多いです。しかし相手に申請させると被害者にとって不利なことを記載して申請してしまうこともあります。やはり被害者に有利なように申請するには、被害者側の弁護士による申請が大事だといえます。
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被害者請求とは?後遺障害等級の取得方法を解説
正しい診断書と画像をそろえアズールで被害者請求をした結果、Yさんには無事に10級11号が認定されました。
人工骨頭置換術で獲得した賠償額は約1900万円
後遺障害等級が認定されたため、相手の保険会社との示談交渉が始まりました。Yさんが高齢であったことから、休業損害・逸失利益の点で保険会社の強い抵抗にあいました。しかし粘り強く交渉を重ねた結果、以下の金額で示談することとなりました。
項目 | 賠償額 |
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治療費 | 120万円 |
入院雑費 | 15万4500円 |
交通費 | 12万5000円 |
休業損害 | 220万円 |
入通院慰謝料 | 240万円 |
逸失利益 | 750万円 |
後遺障害慰謝料 | 550万円 |
合計 | 1907万9500円 |
※過失割合については考慮していません。
正当な賠償金を獲得するためには専門家へ
人工骨頭の挿入は、比較的高齢者の方に行われることが多く、特に逸失利益の点で保険会社と大きな争いになります。しかし、被害者の方は関節に人工物を挿入し、生涯にわたって重い後遺症と戦っていかなければならないのです。保険会社の勝手な言い分・出し渋りを受け入れることはできません。
アズール法律事務所では、交通事故対策チームが一丸となって被害者の方をサポートしています。保険会社の対応がおかしいと感じたら、ぜひ交通事故専門のアズール法律事務所へご相談ください。