
弁護士の中原です。今回は自転車で走行中に自動車で正面からぶつけられ、骨盤骨折となった事例をご紹介します。相手保険会社が一方的に支払いを拒否し、生活が立ちいかなくなった所でご相談いただいたケースです。
骨盤骨折に至った事故の状況
福島県在住のSさん(50歳、男性)は、公道を自転車で走行中、脇見をしていた対向車にいきなり正面からぶつけられました。Sさんは後ろに数メートル飛ばされ、強く臀部(お尻)を強打しました。
Sさんは事故の衝撃で意識を失い救急搬送されました。病院での診断の結果は、
- 不安定型骨盤骨折
- 多発腰椎横突起骨折
というものでした。
Sさんは意識を回復したものの、骨盤を手術することになり、約2ヶ月の入院となりました。
骨盤骨折で入院中から弁護士がフルサポート
Sさんからアズール法律事務所がご相談を受けたのは、手術が終わってしばらく経ったころでした。話を詳しく伺ったところ、保険会社はSさんやご家族の交通費や休業損害の支払いを拒否しているということでした。
そこで弁護士は早急に相手保険会社と連絡を取り、当面必要な費用の支払いを約束させました。重大な事故の場合、被害者家族の生活が立ち行かなくなることがあります。早期にご依頼をいただいたことで、弁護士による全面的なサポートが可能になったのは幸いでした。
骨盤骨折による股関節(こかんせつ)の可動域制限
Sさんは、退院後も通院し懸命にリハビリを行いました。しかし骨盤骨折の影響で左足の股関節(こかんせつ)に可動域の制限が残ってしまいました。
股関節とは、太ももの骨が骨盤と接する部分の関節です。股関節は人体の関節のなかで一番大きく、頭や胴体、骨盤などの重みを受けとめるという重要な役割を果たしています。
自賠責が定めている「股関節の可動域制限」についての等級は、以下の3つがあります。
等級 | 後遺障害 |
---|---|
8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
「機能に障害」というのは、患部の関節の動き(可動域)が狭まってしまうことをいいます。Sさんの可動域は、12級7号に該当する可能性がありました。
弁護士によるサポートで後遺障害12級7号を獲得
可動域の角度については、実際に角度を計測し診断書に記入してもらう必要があります。
アズールでは、弁護士が実際にSさんの主治医に面会し、Sさんの後遺障害獲得に有効な書類の作成をお願いしました。また、股関節の可動域についての計測も、実際に立ち会わせていただき間違いのない角度を確認しました。
アズール法律事務所ではご依頼をいただいたほぼ全件で被害者請求を行っており、今回は後遺障害等級12級7号を獲得することができました。
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被害者請求とは?後遺障害等級の取得方法を解説
骨盤骨折で12級7号を獲得した場合の賠償額
今回のケースでは裁判には至らなかったが、相手方の保険会社との厳しい交渉の結果、約1800万円もの賠償額を認めさせることができました。
項目 | 相手方提示 | 最終獲得額 |
---|---|---|
治療費 | 260万円 | 260万円 |
入院雑費 | 6万8200円 | 9万3000円 |
交通費 | 7万2000円 | 7万2000円 |
文書料 | 1万800円 | 1万800円 |
休業補償 | 80万8900円 | 120万円 |
入通院慰謝料 | 120万円 | 203万円 |
逸失利益 | 486万円 | 947万円 |
後遺障害慰謝料 | 203万円 | 290万円 |
合計 | 1164万9900円 | 1837万5800円 |
※過失割合、既払い金は考慮しておりません
正しい等級認定を受け、正当な賠償を受けるには専門家へ
交通事故の被害者が正当な保険金を獲得するには、どうすればいいのでしょう。
確実に言えるのは以下の2点です。
- 後遺障害等級を正しく認定してもらうこと
- 示談交渉を専門家に依頼すること
やはり後遺障害等級の正しい認定のためには、専門知識のある弁護士に依頼するのがベストです。そして、示談交渉や裁判を念頭に置いて保険会社と向き合うことが出来る専門家というのは弁護士しかいません。
相手の保険会社は、少しでも支払額を減らそうとしてくるものです。長らく交通事故を扱っていますが、正当な保険会社の提示というのは、一度も見たことがない…というのが実際です。
保険会社の提示について、少しでも疑問を感じたりおかしいと感じたときは、交通事故に精通した弁護士のいるアズール法律事務所へご相談ください。