大切な方の死は、容易に受け入れられる事ではありません。人生に関わる大きな問題です。お金で解決できないのは弁護士も承知です。ですが亡くなられた今、相手方の誠意が図れるものは、きちんとした対応。そして保険金の支払いなのです。
このページでは死亡事故での過失割合をご説明しています。※本事例は、被害者の方の特定を避けるため一部内容を変更して記載しています。
目次
絶えない死亡事故
九州地方で、平成25年に死亡事故が起きました。被害者の方は自宅に戻る途中に交通事故にあわれました。被害者はまだ若い男性です。事故の原因は相手方による前方不注意でした。被害者のRさんは事故後すぐに救急車で病院に搬送されましたが、全身を強く打ったためすでに心肺停止状態でした。
医師による診断は
- 出血性ショック
- 外傷性大動脈損傷
- びまん性軸索損傷
でした。
弁護士が九州まで出張してご相談
Rさんにはご両親がいらっしゃいました。お母さまは、ご子息が突然お亡くなりになったショックで大変深く悲しまれていらっしゃいました。事故から2年ほどたってから保険会社による金額の提示がありましたが、金額が正当なものか判断に迷われ、アズール法律事務所にご相談されました。
現場の状況なども確認する必要があるため、弁護士が九州まで出張しました。アズール法律事務所では、ご依頼に応じて日本全国に出張しております。
保険会社の提示の検討~過失割合について
交通事故現場の状況なども確認し、保険会社からの提示を所内で検討しました。 すると、やはり過失割合の点でかなり不利な提示がなされていました。幹線道路での事故にも関わらず、Rさんに不利な過失割合が認定されていたのです。
この点についてこれまでの判例などを丁寧に提示し、Rさんにより有利な過失割合を勝ち取ることができました。具体的には5%分の過失割合を勝ち取ることができたのです。
5%と、少ないようにも思えますが、それは違います。死亡事故などはもともとの金額が大きいため、最終的に受け取る額にかなりの違いが出てくるのです。
保険会社の提示の検討~慰謝料・逸失利益について
またRさんご遺族に提示された「慰謝料・保険金」も不当に低いものでした。死亡事故の慰謝料・保険金については自賠責程度しか提示しない保険会社が多いのです。
さらに将来の収入を受け取ることができなくなった分の補償、いわゆる「逸失利益」についても計算の基礎となる金額について増額することができました。
弁護士による交渉で、慰謝料について、ある程度満足のいく提示がありました。しかし逸失利益について当初は、不満の残る提示でした。裁判も検討しましたが、かなり時間がかかります。そこで継続して交渉を行いました。厳しい交渉でしたが最終的には納得のいく示談となりました。
結果として600万円近い増額を勝ち取ったことで、Rさんのご遺族も満足いただけました。
Rさんに認められた死亡事故の賠償金(過失相殺考慮前)
項目 | Rさんの死亡保険金 |
---|---|
治療費 | 18万7880円 |
入院雑費 | 1500円 |
葬儀費 | 120万円 |
逸失利益 | 4500万円 |
死亡慰謝料 | 2300万円 |
合計 | 6938万9380円 |
・過失割合は考慮していません。
・個人の特定を避けるため、一部分金額を変更してあります。
今回の死亡事故のポイント
死亡事故については、やはり重大事故であり件数も少ないです。
保険会社の担当者ですら慣れていないことが多いです。保険会社の担当者は、自分が未経験の事件についてはかなり厳しい提示をしてくる傾向があります。払いすぎだと後で上司から言われると、担当者の責任になってしまうからです。
しかしそれでは被害者に正当な提示などされないことになってしまいます。あまりに被害者にとってひどい話です。
今回も
- 過失割合が不当
- 慰謝料・逸失利益について自賠責程度の提示しかなされていない
などの、被害者にとってひどい提示がされていました。弁護士が交渉に入ると、当初は過失割合の点で厳しい状況でした。しかし裁判も辞さない姿勢で何度もやり取りをした結果、何とかご遺族にもご納得いただける金額となりました。 結論として800万円を超える増額となりました。
死亡事故ではもともとの金額が大きいこともあり、少しでも状況が変われば大きな増額も可能です。 大切な方の最終的な示談です。我々もできる限りのお手伝いをしたいと考えております。