
高齢者の方が交通事故に巻き込まれ、不幸にも亡くなってしまう事例は残念ながら少なくありません。今回ご紹介する死亡事故も被害者は80代のお年寄りでした
なんの落ち度もないお年寄りの死亡事故であるにもかかわらず、非情にも相手方の保険会社は高齢であることを理由に慰謝料を出し渋る傾向があります。
しかし、交通事故裁判に精通した弁護士が間に入り、しっかりと主張することによって、ご遺族の無念に報いる正当な慰謝料を獲得することが可能になります。
目次
高齢者が犠牲となった死亡事故の状況
被害者のMさん(80代女性)は片側1車線の道路を歩いて横断していました。加害者が運転する4トントラックはその道路を直進、わき見をしていたため直前まで横断中の歩行者に気付かずブレーキが遅れ、衝突してしまいました。
Mさんは全身を強く打ち、多量の出血と骨盤骨折を伴う重体。救急のヘリコプターで病院に搬送されましたが、事故から2時間後に死亡が確認されました。
医師による診断書の記載は下記の通りでした。
- 外傷性出血
- 骨盤骨折
- 高エネルギー外傷
保険会社からの提示額に疑問
事故をおこしたトラックは加害者が所属する会社のものでした。そのため、その会社と契約している保険会社から被害者遺族に慰謝料が支払われることになります。
葬儀が終わり四十九日が過ぎてしばらくしたころに、その保険会社からご遺族に対して慰謝料の提示がありました。ご本人やご遺族に対する慰謝料、葬儀費用などが含まれたものでした。
ご遺族はこの金額が適正なものか判断がつかず、示談書にサインをする前にアズール法律事務所に問い合わせをいただきました。
高齢の被害者に対する慰謝料と逸失利益
弁護士が確認したところ、保険会社から提示された慰謝料は、もっとも低い算定基準である自賠責保険の基準で計算されていることがわかりました。これは過去の裁判例にあわせた裁判基準で計算されていればもっと高額になるはずです。
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交通死亡事故の慰謝料・保険金の相場は?計算方法、相続権等について
また、死亡の時点から将来の収入分を補償する逸失利益についても、年金収入分しか計上されていませんでした。Mさんは80代でしたが事故当時も元気で、一家の家事のほとんどをこなしてました。ですから家事従事者としての平均給与額も逸失利益に加えるのが妥当だと考えられます。
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死亡事故の逸失利益とは?計算方法をわかりやすく解説
アズール法律事務所では相手方の交通共済に対して、正式な手順で慰謝料と逸失利益の見直しを申し入れしました。しかし残念ながら、こちらの希望額とは程遠い金額の回答しか得られませんでした。何度も交渉を重ねましたが、交通共済の態度は頑なでした。
仲裁機関に申し立て
そこで弁護士は、この事案を公的な仲裁機関に持ち込み、和解あっせんの申し立てを行いました。中立の立場である同機関に金額の判断をゆだねることで、この争いに決着をつけようとしたのです。
結果として仲裁機関が提示した金額は、私たちの要求にかなり近いものでした。アズール法律事務所の長年の経験による綿密な準備が功を奏したのです。相手側の交通共済もこの金額を受け入れるしかありませんでした。
項目 | 相手方提示 | 最終獲得額 |
---|---|---|
治療費 | 30万円 | 30万円 |
入院雑費 | 1,500円 | 1,500円 |
その他費用 | 11,000円 | 11,000円 |
葬儀費用 | 80万円 | 80万円 |
逸失利益 | 110万円 | 445万円 |
死亡慰謝料 | 1100万円 | 2200万円 |
合計 | 1321万2500円 | 2756万2500円 |
・過失割合は考慮されていません。
・個人の特定を避けるため、一部分金額を変更して記載しています。
高齢者の死亡事故でも正当な慰謝料を受け取るために
昨日まで元気だった家族の日常を一瞬で奪い去ってしまう死亡事故。ご遺族の無念は計り知れません。事故の相手側も頭を下げ、謝意を見せることが多いと思います。
しかし慰謝料の支払いとなると話は別です。特に被害者が高齢者の場合は、葬儀費用を出し渋ったり、逸失利益を認めなかったり、低い基準で慰謝料を算定したり…。なんとか慰謝料を下げようとしてくるのです。そして保険会社によっては交渉にも応じようとしないケースも多々あります。
こうした事態を解決するには、やはり専門知識を持った弁護士に相談するのがいちばんです。ほとんどの死亡事故で数百万、場合によっては数千万の増額が可能です。
亡くなった被害者の方の無念を晴らすためにも、正当な賠償額を手にして明日への一歩を踏み出しましょう。