死亡事故の逸失利益とは?計算方法をわかりやすく解説

死亡逸失利益とは?ポイントは年収と年数

交通事故で被害者がお亡くなりになった場合、死亡の時点から被害者の方の収入は入ってこなくなります。この、死亡の時点から将来の収入分を補償するものが逸失利益です。逸失利益は、簡単に言うと【年収】×【年数】です。
(実際の計算式はもっと複雑ですので、ここではまずは基礎を理解してください。)

年収はどう計算する?

逸失利益の計算の基本となる年収はどう算定するか?給料をもらっていた方は給与明細や年末調整の書類で計算できます。
しかし自営の方や主婦の方はどうなるのでしょうか。

年収の計算は、会社員など給与所得者、自営業者など個人事業主、会社役員、主婦など家事従事者、さらには学生や無職の場合などでそれぞれ違いがあります。
ごくおおざっぱには下の表のとおりです。

死亡時の状況 計算方法
会社員など給与所得者 事故前の実収入
自営業者など個人事業主 確定申告額
会社役員 労働部分
主婦など家事従事者 賃金センサス
無職者 働く可能性があれば賃金センサス
学生 賃金センサス

ただし、例外もかなりあります。 詳細は下の記事を参照してください。

年数はどう数える?

年数の計算はそれほど難しいものではありません。死亡逸失利益は亡くなった時点から、働けなくなるまで得るはずだった収入です。したがって、死亡逸失利益の年数とは、次の式で計算できます。

【年数】=

【一般的に働ける年齢(67歳とされています)】-【事故時の年齢】

ただし、未成年の方は別の方法があります。また高齢者(67歳に近い方、超えた方)も注意が必要です。

実際の死亡逸失利益算出方法

死亡逸失利益の実際の算出は以下の計算式となります。

【死亡逸失利益】=

【基礎収入】×【1-生活費控除率】×【就労可能年数に対するライプニッツ係数】

生活費控除率? ライプニッツ係数? どうしてこんなややこしいことになるんでしょうか。それは、死亡逸失利益が一括して支払われることに原因があります。

生活費控除率とは?

一括して払われるとなぜややこしくなるか?

「全部を一気にもらえるからいいんじゃないの?」

それはそうなのですが、将来の分も含めて今もらうとどうなるか?人が生きていると生活費がかかりますよね?もし収入があっても、そこから生活費を出していきます。年収まるまるもらえるとなると、かからないはずの生活費分ももらえることになってしまいます。

例えば年収700万円の方が交通事故で亡くなったとします。そうすると、生活費として350万円を使うはずだったので、残りの350万円を補償します、そういうことになります。下に表にまとめてみました。

項目金額
年収700万円
生活費350万円
残り350万円

この場合50%を生活費として引かれているのですが、これは亡くなった方の状況によって変わります。
これが下の表です。

亡くなった方の状況 生活費控除率
一家の支柱
(家族を収入面から主に支えている方)
被扶養者1人 40%
扶養者2人以上 30%
女子
(主婦・独身・幼児等を含む)
30%
男子
(独身・幼児等を含む)
40%~50%

しかし、生きている状況や男女間で控除率(要するにどれだけ引かれるか)が変わるのはおかしいという考えもあります。興味のある方は、生活費控除と問題点をご覧になってください。

ライプニッツ係数とは?

ライプニッツ係数とは、利息を計算するときに使う数字です。

逸失利益は将来もらうはずの給料を今まとめてもらえる、ということです。

「これのどこがおかしいの?」

そう思われるかもしれませんが、今30年先の給料をもらえるとするとどうなるでしょう?貯金しておけば利息がつきます。そこで、将来の収入を今もらうわけだから、その利息分を減らしましょう…ということになっています。その計算をする方法がライプニッツ係数です。

以下の表のようになっています。

年数 ライプニッツ係数 年数 ライプニッツ係数
1 0.9709 35 21.4872
2 1.9135 36 21.8323
3 2.8286 37 22.1672
4 3.7171 38 22.4925
5 4.5797 39 22.8082
6 5.4172 40 23.1148
7 6.2303 41 23.4124
8 7.0197 42 23.7014
9 7.7861 43 23.9819
10 8.5302 44 24.2543
11 9.2526 45 24.5187
12 9.9540 46 24.7754
13 10.6350 47 25.0247
14 11.2961 48 25.2667
15 11.9379 49 25.5017
16 12.5611 50 25.7298
17 13.1661 51 25.9512
18 13.7535 52 26.1662
19 14.3238 53 26.3750
20 14.8775 54 26.5777
21 15.4150 55 26.7744
22 15.9369 56 26.9655
23 16.4436 57 27.1509
24 16.9355 58 27.3310
25 17.4131 59 27.5058
26 17.8768 60 27.6756
27 18.3270 61 27.8404
28 18.7641 62 28.0003
29 19.1885 63 28.1557
30 19.6004 64 28.3065
31 20.0004 65 28.4529
32 20.3888 66 28.5950
33 20.7658 67 28.7330
34 21.1318 68 28.8670

2020年4月1日改定

ライプニッツ係数についてさらに詳しくお知りになりたい方は下記の記事をご覧ください。

逸失利益のほかにも重要な計算ポイントが

実際の交通事故では、逸失利益の他にも慰謝料過失割合など重要な計算ポイントがあります。ご自分で計算されるのも大変ですが、いちばん問題なことは知らないまま通りすぎてしまう、ということです。迷われた時、保険会社との示談交渉で疲れた時、そんなときはわれわれ専門家にご相談ください。

一緒に新しい未来を考えていきましょう。