死亡逸失利益の生活費控除について解説

死亡逸失利益の計算で問題となる生活費控除とは

被害者が生きていれば得られたはずの収入、それが死亡逸失利益です。

しかし、生きていれば収入だけでなく支出もしていたはずです。そして生活費は誰もが必要な支出です。そこで死亡逸失利益の計算では、収入から生活費の割合を差し引く仕組みになっています。

生活費控除のポイント①|被扶養者の人数

生活費がいくら必要かは個人差が大きいのですが、被害者が死亡している以上、想定は困難なため、被害者が一家の主な収入者かで生活費控除率が決められます。では、一家の支柱(被扶養者2人以上)よりも一家の支柱(被扶養者1人)の生活費控除率が低いのはなぜなのでしょうか?

被扶養者1人の場合とは夫婦2人の場合、被扶養者2人以上とは夫婦に子供がいる場合になります。当然、子供がいる世帯の方が、生活費が収入に占める割合は高くなるでしょう。

しかし、生活費控除率では子供がいる世帯の方が低く設定されています。これは、扶養家族が多い方が、被害者自身の生活費の支出は抑えるだろうという点と、遺族の生活保障に配慮した控除率になっていると考えられます。

生活費控除のポイント②|女性より男性の方が生活費控除率が低いのはなぜ?

生活費は個人差が大きいですが、一概に男性の方が生活費が多いわけではないのに、このように設定されているのはなぜでしょう。これは、賃金センサス[※1]の男女別の平均賃金からもわかるように、日本ではまだ男女間の賃金格差があるとされており、女性被害者の方が基礎収入額が低く設定される傾向にあります。そこで女性の生活費控除率を低く設定することで、性別による格差を是正しようと考慮していると考えられます。

生活費は上記の基準によって控除されますが、個々のケースによって判例では例外も認められています。

例えば、被害者が年金生活の場合、年金収入に占める生活費の割合は高いと考えられ、基準よりも高い生活費控除率が認められた例があります。その他にも基礎収入が低い独身男性に対し基準よりも低い生活費控除率が認められた例、逆に基礎収入が高い独身女性に対し基準よりも高い生活費控除率が認められた例、相続人が兄弟だった場合に基準よりも高い生活費控除率が設定された例などです。