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顔に傷が残った場合の慰謝料は? 交通事故による外貌醜状の後遺障害を解説

交通事故で顔に傷あとが残ってしまうと、被害者のショックも大きいことでしょう。顔に傷が残った場合、日常生活での動作に不自由がなくても、後遺障害として慰謝料が受け取れることがあります。どんなケースで慰謝料を請求できるのか、慰謝料を受け取るためにはどうしたらいいのか、詳しく見ていきましょう。

顔に傷が残ったら慰謝料はもらえる? 外貌醜状とは?

結論から言うと、顔に残った傷の大きさによって、慰謝料をもらうことができます。以前は男性より女性のほうが高額な慰謝料を受け取れましたが、今は男女とも同じ基準で判断されるようになりました。

外見による差別はあってはならないことですが、顔に傷があるために職種が制限されたり、場合によっては仕事を失ってしまうこともあります。そうでなくても目立つ場所に傷が残れば、ショックも大きいことでしょう。そのため顔の傷も後遺障害として認定され、慰謝料が請求できるようになっています。

慰謝料がもらえるような目立つ傷あとのことを、法律では「外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)」と呼びます。「外貌」とは「外から見える部分」、「醜状」とは「人目につく傷あと」を指します。

顔以外の傷あとでも「外貌醜状」に含まれる?

法律でいう「外貌」の範囲は、頭、顔、首、腕の肘から先、足の膝から下です。基本的に、服で隠れない部分と考えておきましょう。

ただし「外貌醜状」として慰謝料が請求できるケースのほとんどは、顔に残った傷あとです。同じサイズの傷あとでも、腕や足の傷は慰謝料の金額も低くなってしまいます。

顔の傷による後遺障害の等級はどのくらい?

顔の傷をはじめとする「外貌醜状」での後遺障害は、以下の3項目のいずれかに当てはまるものが認定されます。

  • 7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」
  • 9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」
  • 12級14号「外貌に醜状を残すもの」

そういわれても、どのくらいの傷あとが「著しい醜状」になるのか、「相当程度の醜状」とはどんな傷あとなのか、分からない方がほとんどではないでしょうか。じつはそれぞれ、判断の基準が細かく定められています。以下の項目で詳しく説明しましょう。

後遺障害7級12号の「外貌に著しい醜状を残すもの」とは?

後遺障害等級の7級12号でいう「著しい醜状」の基準は、以下のようになっています。このうちひとつでも当てはまれば、後遺障害7級に認定されます。

  • 頭に手のひらよりも大きい傷あとや陥没がある
  • 顔に卵よりも大きい傷あとがある
  • 顔に10円玉よりも大きい陥没がある
  • 首に手のひらよりも大きい傷あとがある

手のひらには、指の部分は含まれません。手の大きさは人によって違いますが、被害者本人の手のひらサイズが基準になります。

後遺障害9級16号の「外貌に相当程度の醜状を残すもの」とは?

後遺障害等級の9級16号でいう「相当程度の醜状」とは、顔に長さ5センチ以上の傷あとがあることです。傷の幅の指定はないので、細い線のような傷あとでも認定されます。

漫画やアニメで見かけるような、線状の傷がバツ印に交差しているような傷あとの場合は、傷の範囲を広く考えて7級12号に認定してもらえる可能性もあります。

反対に、顔を近づけてよく見ないと分からないような傷あとや、前髪で隠れてしまう傷あとだと、長さが5センチ以上あっても後遺障害認定は難しいと考えておきましょう。法律でいう「醜状」とは、目立つ傷あとのことだからです。

後遺障害12級14号の「外貌に醜状を残すもの」とは?

後遺障害等級の12級14号でいう「醜状」の基準は、以下のようになっています。このうちひとつでも当てはまれば、後遺障害12級に認定されます。

  • 頭に卵よりも大きい傷あとや陥没がある
  • 顔に10円玉よりも大きい傷あとがある
  • 顔に長さ3センチ以上の線のような傷あとがある
  • 首に卵よりも大きい傷あとがある
  • 顔の神経が麻痺したことで、顔がゆがんでいる

顔のゆがみとは、「片方の口元だけが吊り上がってしまった」「顔がひくひくと痙攣する」といった症状を指します。顔のゆがみは、麻痺が起きている範囲の大きさに関係なく、後遺障害12級に認定されます。

顔に複数の傷あとが残ってしまった場合は?

交通事故によって、顔に2つ以上の傷あとが残ってしまうこともあります。その場合、傷あとの長さや面積を合計して、後遺障害の認定が行われます。ただ、顔の傷あとについての後遺障害は、厳密に判断できるものではありません。

たとえば2.5センチと2.3センチの傷あとがあるケースでは、合計しても4.8センチで、後遺障害9級16号の「長さ5センチ以上の傷あと」にはなりません。しかし、傷あとが2つもあればかなり目立つため、後遺障害9級に認定されることもあります。

顔の傷(外貌醜状)の後遺障害申請で気をつけるべきポイント

後遺障害を申請するときは、医師の診断書や写真などの資料を提出します。通常はその資料のみで判断されますが、顔の傷(外貌醜状)の場合に限っては、被害者本人の面接が必要になります。

面接は、後遺障害を認定する「損害保険料率算出機構」の「自賠責損害調査事務所」で行われます。自賠責損害保険調査事務所は全国に54カ所あり、各都道府県に1カ所は設置されています。ですから「面接のために東京まで行かなければならない」といったことはありません。

面接では実際の傷あとの大きさを測って、どの後遺障害等級がふさわしいか判断されます。ただ、傷あとの大きさや長さは厳密に測れるものではありません。そのため面接の担当者によって、認定される後遺障害等級が変わってしまうこともあります。

傷あとは時が経つほど薄くなるものです。顔の傷で後遺障害申請をするなら、「傷あとがはっきり残っているけれど、まだ薄くなっていない」というタイミングがベストといえるでしょう。目安としては交通事故から半年後くらいですが、医師とよく相談するとともに、できれば損害賠償の経験豊富な弁護士にも相談したいものです。

顔の傷(外貌醜状)で受け取れる慰謝料の相場は?

後遺障害に対する慰謝料は、後遺障害等級が高いほど高額になります。ただし、後遺障害等級の慰謝料を計算するための基準は、ひとつではありません。「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。

3つの基準(イメージ図)

自賠責保険は必要最低限の補償をするためのものなので、自賠責保険基準での慰謝料は驚くほど低い金額になっています。

弁護士基準とは、過去の交通事故裁判の判例から弁護士会が分析したもので、3つの基準の中では最も高額になります。

任意保険基準は、自賠責保険基準と弁護士基準の中間と考えておきましょう。

参考までに、顔の傷(外貌醜状)で認定される後遺障害7級、9級、12級について、自賠責保険基準と弁護士基準の相場を挙げておきます。

後遺障害等級 自賠責保険基準 弁護士基準
7級 419万円 約1000万円
9級 249万円 約690万円
12級 94万円 約290万円

顔の傷(外貌醜状)で逸失利益は受け取れる?

逸失利益とは、交通事故にさえ遭わなかったら将来受け取れたはずのお金のことです。基本的には、顔に傷が残ったことによる逸失利益は、ほとんど受け取れないと考えておきましょう。

ただし、顔の傷での逸失利益が受け取れるケースもあります。たとえばモデルや俳優など、見た目が重要視される職業では、顔に傷がつけば失業してしまいかねません。もちろん、請求するには「外見が重要な職業に就いていた」と証明しなければなりませんが、そういった職業ならば逸失利益が受け取れる可能性があります。

一般人であっても、たとえば見たとたんに子供が泣いてしまうほどのひどい傷あとがあると、就ける職業が限られてきます。その場合も、逸失利益を受け取れる可能性があります。

顔の傷(外貌醜状)の正当な慰謝料を受け取るには?

まず一番大切なのは、残ってしまった傷にふさわしい後遺障害等級を取得することです。顔の傷(外貌醜状)は、後遺障害の中でも厳密に判定しにくいものなので、「被害者請求」による後遺障害の申請をお勧めします。

じつは後遺障害等級の申請には、加害者側の保険会社に手続きを任せる「事前認定」と、被害者自身が申請する「被害者請求」の2つの方法があります。

「事前認定」を選んだ場合、保険会社が申請を代行してくれますが、じつはそれほど熱心に準備や手続きをしてくれるわけではありません。できるだけ自社の利益を確保する必要があるからです。認定に必要な画像や資料が十分でないまま申請してしまう場合もあるのです。

「被害者請求」を選んだ場合、被害者側でさまざまな書類や資料をそろえて申請する必要があります。でも実は交通事故に慣れた弁護士に依頼すれば、ほとんどの手続きを代行してくれるのはもちろん、審査時の面接にも同行してくれる場合も多いので安心です。

弁護士に依頼することで、後遺障害の慰謝料が弁護士基準で計算されるという金額的なメリットもあります。顔の傷では認められにくい逸失利益についても、損害賠償のプロである弁護士がしっかりと判断するので、保険金が増額できる可能性が高いといえます。

交通事故で顔にケガをしてしまったときは、なるべく早い時期に弁護士に相談することをぜひ考えてみてください。


顔の傷あとの後遺障害による賠償事例

7級12号外貌醜状(顔のきず)で4700万円の損害実例

外貌醜状で9級16号に認定され、最終的に約1500万円の獲得例

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