実況見分調書の取得方法について解説

こんにちは。弁護士の中原です。
今回は、実況見分調書の取得方法についてご説明いたします。実況見分とは、事故が発生した時刻・当事者・状況などを警察が記録する捜査のことです。原則として事故直後に当事者の立ち合いで行われます。実況見分を行って、警察官が実況見分の結果を詳しく図や写真入りで調書としてまとめたものを、実況見分調書といいます。

実況見分調書の取得方法

警察で作成された実況見分調書は、その後検察庁へ送られて、加害者を起訴するかどうかを検察官が判断する際の補助資料となります。最終的には実況見分調書は検察庁へ送られますので、その取得方法も、検察庁に行って手続きをすることになります。

実況見分調書の取得方法については、時期によって取得できるかどうかや請求する相手が変わってきますので、段階を追って見ていきましょう。

時期 取得の可否
①捜査中 捜査中は取得できない
②不起訴処分後 実況見分調書の取得が可能、検察庁へ申請する
申請書類→ 不起訴記録閲覧謄写申出書(PDF)
③起訴後第一回公判期日前 実況見分調書の取得が可能、検察庁へ申請する
④裁判中 実況見分調書の取得が可能、裁判所へ申請する
⑤判決確定後 実況見分調書の取得が可能、検察庁へ申請する
申請書類→ 保管記録閲覧請求書(PDF)

①捜査中

捜査中は非公開が原則(刑事訴訟法47条)で、実況見分調書の取得はできません。

②不起訴処分後(捜査が終わり、加害者の処分が不起訴となった後)

被害者は実況見分調書を取得することができます。まず、実況見分を行った警察署の交通課に連絡をとります。その際、下記の3点を聞いてください。

日時 送致日(検察庁への送致日)
場所 送致先検察庁(どこの検察庁へ送致したか)
番号 送致番号(検番などとも呼ばれます)

そして送致先の検察庁へ連絡し、送致日と送致番号を伝えて実況見分調書の閲覧・謄写を申し出てください。ちなみに、閲覧とは書面を目で見て確認することです。謄写とは、書面の写し(コピー)を取ることをいいます。 具体的には、このような書類を使って申請します→ 不起訴記録閲覧謄写申出書(PDF)

警察署によっては、被害者本人の問合せであっても上記3点を教えてくれないケースがまれにあります。その場合は、弁護士法の23条照会という特別な手続きで実況見分調書を取得することになります。これは弁護士でなければできない手続きとなります。

不起訴事件記録について詳しく→ 外部ウェブサイト:法務省・不起訴事件記録の開示について

③起訴後第一回公判期日前(捜査が終わり、加害者が起訴され、裁判が始まるまでの間)

加害者が起訴され、公判が始まるまでの間は、被害者は検察庁へ閲覧・謄写を申請することができます。

④裁判中(公判期日後)

裁判中は、検察庁ではなく、裁判所へ閲覧・謄写を申請することができます。

⑤判決確定後

判決の確定後は、原則として誰でも実況見分調書の閲覧・謄写を申請することができます。
加害者氏名、罪名、判決日を確認し、検察庁(第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁)へ保管記録閲覧請求書を提出して申請します。
具体的には、このような書類を使って申請します→ 保管記録閲覧請求書(PDF)

実況見分調書の実際の例

では、実際の実況見分調書を見てみましょう。この例は実際に弊所で扱った事案の実況見分調書の図を特定できないように変更したものです。

実況見分調書の参考画像

実況見分調書の取得が必要な場合とは?

では、実況見分調書を取得する必要があるのは、どういう場合なのでしょうか。

それはズバリ、過失割合が問題になっているときです。

交通事故というのは、一方が100%悪いというケースは意外と少ないです。停車中の追突のようなケースを除けば、何らかの形でお互いに過失が発生することがほとんどです。加害者と被害者の間に意見の相違があり、過失割合が決まらない場合、この実況見分調書をもとに過失割合が決まるといっても過言ではありません。

したがって、実況見分調書は、極めて重要な証拠書類ということになります。

逆にいうと、追突などで被害者に全く過失がなく争いがないようなケースでは、実況見分調書を取る必要はあまりありません。過失割合で争いが生じているような場合は、実況見分調書を取得されることをお勧めいたします。